タイトル |
エンドトキシン投与により誘起した病牛の舎飼時における行動変化 |
担当機関 |
群馬県畜産試験場 |
研究期間 |
1994~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
乳牛の行動から健康状態を把握する指標を作る目的で、多様な病態を誘起する作用があるエンドトキシン(ET)を実験的に投与して作出した病態時の牛の行動を健康対照牛と比較した。ET投与により誘起した疾病牛は、投与直後から7時間採食行動と反芻が認められなかった。これらの行動観察は異常牛発見の指標になると思われる。
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背景・ねらい |
生乳生産の低コスト化を図る目的で、フリーストール・ミルキングパーラー方式による 酪農経営の大規模化が進展している。しかし、従来の個体管理方式と異なるため、乳牛本来の行動特性を解明し、大規模牛群の管理作業の効率化を推進する必要がある。このような背景のもとで、平成6年から季節別・泌乳量別につなぎ牛舎内で健康な乳牛の行動調査を実施してきた。今回は、病的状態にある乳牛の行動を知る目的で、濃厚飼料過給時に認められるET血症の病態を作出するため、日量35kg以上泌乳している牛5頭に投与し、同一条件の健康対照牛5頭の行動と比較した。試験は予備期7日間の行動観察後、疾病牛には採食・反芻が抑制される最低量のET0.15μg/kgBWを、健康牛には生理食塩水20mlをそれぞれ頚静脈から投与し、10頭同時にVTRに記録して、採食時間とその回数、反芻時間とその回数、起立時間とその回数を測定した。また、予備期と試験期の体重、乳量および乾物摂取量も併せて計測した。
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成果の内容・特徴 |
- 供試牛は予備期と試験期で体重、乾物摂取量に有意な差はなかったが、ET投与によって誘起した疾病牛は予備機に比べ乳量が 6.3kg低下した(P>0.05、表1)。
- 疾病牛はET投与直後から朝の給餌刺激による採食時間が1日のうちの2.1 %と著しく低下した。また、疾病牛は健康牛に比較して1日の採食回数が少なく、反芻回数も有意に(P>0.05)低下した(表2)。
- 疾病牛は、ET投与直後から7時間は採食行動がほとんど認められず、主な採食行動は午後16から20時に集中していた(35.4%)。また、反芻行動は主な採食が終了した深夜に集中していた(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 採食、反芻行動の異変から病牛を推定できる。
- ETによって誘起した病牛では、乳量の低下が認められた。
- 本試験は人為的にエンドトキシン血症の病態を引き起こして調査したものであり、全ての病態に見られる異常行動とは限らない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
経営管理
大規模化
低コスト
乳牛
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