タイトル |
県内肉豚の脂肪融点調査から見た脂質の改善実態 |
担当機関 |
群馬県畜産試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
本調査では、肉豚の腎臓周囲脂肪上昇融点の平均値は42.38±3.38℃であり、最多出現範囲は44~45℃の範囲であった。15年前の調査と比較して平均値で1.28℃上昇し、最多出現範囲は2.5℃上昇した。融点が42℃以上で高位に安定する枝肉背脂肪の厚さの範囲および枝肉重量の範囲は日本食肉格付協会による「豚枝肉取引規格」に示される上物規格の範囲を包括している。
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背景・ねらい |
1981年、肉豚の腎臓周囲脂肪の上昇融点(以降、「融点」)を測定し、融点平均41.1±3.43℃を得た。その後の脂肪品質の変化を確認し、併せて近年の枝肉大型化に伴う脂肪品質の影響を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 本調査では融点は最低30.17℃から最高50.40℃まで分布し、平均は42.38±3.38℃であり、最も出現頻度の高いのは44~45℃の範囲であった。15年前の前回調査に較べ平均値で1.28℃上昇し、最多頻度は2.5℃上昇した。また、前回では融点が30℃以下の極めて品質の劣る脂肪が約2%見られたが、今回は皆無であった。
- 背脂肪の厚さが1.2~2.8cmの範囲で融点が42℃を超え、高位に安定している。前回では高位安定の範囲が1.9~2.1cmと僅か0.3cmの狭い幅であったが、今回では1.7cmとその範囲が大幅に広がり、全体に脂肪品質の改善が進んだものと思われる。
- 枝肉重量が65~85kgの範囲で融点が42℃を超え、高位に安定している。
- 日格協の枝肉格付が低下するに伴い融点が低下する傾向が見られるが有為な差は認められなかった。この傾向は前回の結果とも同じであった。
- 前回調査から15年経過したが、この間概略枝肉重量は2.5kg増加し、上物率は約6%低下したが、脂肪品質については改善の効果が見られる。また、融点の高位安定の範囲が大幅に広がったことにより安定した品質のものが多くなり、この面でも種豚の改良や給与飼料の改善、飼養環境の改善等、品質改善の効果が現れていると思われる。
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成果の活用面・留意点 |
- 脂肪品質は以前に較べ改善されている。格付「上」の範囲(背脂肪範囲1.3cm以上2.4cm未満、枝重範囲65kg以上80kg未満)の肉豚であれば高い品質が期待できる。
- 融点40℃以下のものが21.4%存在するので、給与飼料の成分や品質管理に注意し、併せて疾病・ストレス等に留意し肥育豚を健康に管理する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
豚
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