タイトル |
耐凍剤DMSOを含むニワトリ凍結融解精液の受精率 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
ニワトリ凍結融解精液中の耐凍剤DMSOを除去することなく、希釈によりDMSO濃度を低下させた凍結融解精液を雌鶏に人工授精して受精率を検討した結果、20%の受精率を得た。このことから直接注入の可能性が示唆された。
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背景・ねらい |
鶏凍結精液を作成する場合に使用される耐凍剤グリセロールは強い受精阻害作用を持っているため、融解後に段階希釈や遠心分離等の煩雑な除去操作を行わなければならない。そのため、凍結精液を利用した鶏育種改良の効率化を図るには、融解後の処理が簡易で高い受精率を得られる技術の開発が必要である。そこで、グリセロールに代わる耐凍剤としてDMSOを用い、毎分5℃で-80℃まで急冷する大塚ら(愛知農総試研報,21,1989)の方法に従って凍結・保存後、DMSOを除去することなく希釈により濃度を低下させた凍結融解精液の受精率について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 凍結保存液はLake液、耐凍剤はDMSOを使用した(表1)。
- 凍結融解精液のDMSO濃度をそれぞれ2、4、6及び8%と所定の濃度に希釈後人工授精した雌鶏の7日間の受精率は、それぞれ14.3、20.0、4.2及び1.8%で、2及び4%区と8%区との間に有意な受精率の差が認められた(表2)。
- DMSOを含む濃度が異なる各区の受精羽数は2及び4%区が5羽、6及び8%区が1羽であった(表3)。
- DMSO濃度の上昇に伴って受精率は低下の傾向を示したが、DMSOにグリセリンの様な強い受精阻害作用はみられず、精子活性が維持可能な低濃度凍結方法や融解方法などの技術の改善により、受精率の向上と凍結融解精液の直接注入の可能性が示唆された。
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成果の活用面・留意点 |
凍結方法や融解方法などの技術の改善を必要とするが、ニワトリ凍結融解精液の直接注入の可能性が示されたことから、活用面での実用化の可能性が高くなってきている。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
鶏
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