タイトル |
トマトのセル成型苗の低温貯蔵法 |
担当機関 |
神奈川県農業総合研究所 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
トマトのセル成型苗の適齢期定植とセル苗の計画生産のために、低温貯蔵の条件を検討した。貯蔵温度は、貯蔵期間が1~2週間なら10~13℃でもよいが、3週間までの長期貯蔵では5~7℃が適切である。また、貯蔵中は弱光による照明を併用する。
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背景・ねらい |
セル成型苗は、適齢期に移植しないと生育過剰となり徒長し苗質が低下し易い。栽培者側では作業の遅れ、気象や土壌条件の不良などで適期移植ができなかったり、一方、苗の供給者側では、苗の計画生産の困難さや流通条件の不備などのため適齢期に苗の供給ができないことが起こる。そこで、トマトのセル成型苗を一時的に保存する目的で、低温下で貯蔵するための温度、光の効果および貯蔵可能期間を検討し、貯蔵法を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 貯蔵温度5~7℃では、セル成型苗の貯蔵中に生長は停止したが、10と13℃ではやや生長し、葉長はやや長く、葉重の増加が認められたが、その程度は高い温度ほど、また日数が長いほど大きい。果実の収量・品質については各処理とも変形果などは少なく、収量性はほぼ同程度である(表1)。
- 照明の影響 貯蔵中に蛍光灯による5~6μmol・m-2・sec-1(300lx程度)の弱い光で、12時間の照明を行う(表2)。
- 貯蔵期間弱光による12時間照明下において貯蔵期間が1~2週間の短期ならば、10~13℃でも十分利用でき、3週間までの長期貯蔵を行うためには、5~7℃が適切である。このような貯蔵条件では、それによる収量、品質への影響はみられない(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 貯蔵庫は一定の温度を制御できるものを使用する。
- セルトレイ全体をフィルムで被覆して、土壌の乾燥を抑制する。貯蔵中のかん水は病気発生の原因となるので好ましくない。
- 貯蔵庫への導入のために低温順化は特に必要はない。
- 貯蔵後の強光、高温下へ適応させるために、移植または定植前には1日間かならず遮光下、常温条件で順化させること。
- 本試験では第1または第2果房までの収量成績であるが、別の試験(データ略)で第5果房まで栽培したところ、低温貯蔵の影響による乱形果の発生は認められなかったので、通常の作型に適用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
乾燥
栽培技術
長期保存・貯蔵
トマト
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