タイトル |
うどんこ病に強い促成栽培用イチゴ新品種「TC-4」 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
草姿中間、草勢強で、花芽分化期、成熟期が早く、2~3月のなり休みが少なく、大果、高品質、多収で、うどんこ病に強い促成栽培用イチゴ 新品種「TC-4」を育成した。
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背景・ねらい |
近年イチゴのうどんこ病の発生は有効な薬剤が少ないことから増加傾向にあり、イチゴ生産者は防除に苦慮している。これらのことから、うどんこ病に強く、大果、高品質、多収の促成栽培用新品種を育成した。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過
1987年に大果で日持ちの良い「とよのか」を母親に、早生で果実形質の優れる「千鶴」を父親として交配を行った。1988年に得られた実生株約 200株の中から、早生で、うどんこ病に強く、大果で品質のすぐれた 6系統を選抜した。さらに1989年に6系統の中から2系統を選抜し、1989年~1990年に特性検定及び生産力の検定を繰り返した。その結果優良な形質を持ち、実用性が高いと認められた「TC-4」を選抜した。1990年~1992年には県下8地域において現地適応性試験を行い、早生性、栽培のしやすさ、多収性、うどんこ病、炭そ病に強いことなどについて高い評価が得られた。以上の結果から新品種として有望と認められたため、1997年に種苗登録を申請した。
- 特性
草姿中間、草勢強、ランナー発生数中である(表2)。花芽分化期は「女峰」、「とよのか」と同程度の早生種である(表1)。花数は頂花房で10~12個、腋花房7~8個程度となる(表2)。上物収量は「女峰」と同程度で、「とよのか」、「千鶴」より多く、上物率も高い。上物1果平均重は「女峰」、「とよのか」より重い、果重型である(表2)。果形は「とよのか」に似た円錐型で、果皮色は鮮紅色で光沢があり、空洞の発生が少ない(表2)。糖含量は「女峰」よりやや低いが、糖酸比が高く、多汁質で、食味は桃の香りとさわやかな酸味があり良好である。果実硬度は「女峰」より軟らかい(表3)。うどんこ病には両親や「女峰」より強い(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 定植後の活着が「女峰」に比べやや遅い。
- 電照は特に必要とせず、保温開始時期、温度管理は「女峰」に準じる。
- なり休みが少ないので、直売や、イチゴ摘みなどの観光用としても有望である。
- うどんこ病の防除は、開花期までに行えば、収穫期の防除はほとんど必要としない。炭そ病にも強く、炭そ病の汚染圃場においてほとんど発生はみられない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
いちご
うどんこ病
温度管理
栽培技術
新品種
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防除
薬剤
良食味
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