タイトル |
エビイモウイルスフリー苗の実用的な利用体系 |
担当機関 |
静岡県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
エビイモウイルスフリー苗を隔離ハウスで種芋養成し、得られた種芋を分割増殖することにより1株当たり約200の定植苗を得ることができる。この定植苗を利用することにより慣行苗と比較して約25%の増収効果が期待できる。また、培養苗を一般ほ場で繰り返し栽培した場合の増収効果は4年目には認められなくなるため、種芋の更新は3年毎に行う必要がある。
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背景・ねらい |
エビイモのウイルスフリー苗は増収効果が認められ、産地においては導入の要望が強い。しかし、ウイルスフリー苗を基にして定植苗を効率的に生産する方法が確立されていない。そこで、ウイルスフリー苗を隔離ハウスで養成し得られる種芋の分割増殖法の開発と、一般ほ場栽培における培養苗の増収効果持続期間を明らかにし、産地におけるウイルスフリー苗の実用的な利用体系を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 種芋を分割し効率的に定植苗を増殖する場合の実用的な芋切片の大きさは、親芋で20g以上,子芋で15~20g程度,孫芋で10~15g程度が良い(表1)。また、種芋は通常約30日間の伏せ込みで定植可能となるが、種芋を分割した場合には約40日間が必要である。
- 隔離ハウスで栽培された種芋(親芋,子芋,孫芋別)の収量と種芋の分割数等を基に得られる定植苗数を試算すると、1株から約200の定植苗を得ることができる。
- ウイルスフリー苗を一般ほ場で繰り返し栽培すると栽培3年目までは慣行苗と比較して増収効果が認められるが、4年目になるとサトイモモザイクウイルス罹病株が増加(データ省略)し、増収効果がみられなくなるため、一般ほ場における種芋の更新は3年毎に行う必要がある(表2)。
- これらのことから、産地においてはエビイモウイルスフリー苗を隔離ハウスで種芋養成し、得られた種芋を分割して定植苗を得る。更に一般ほ場を3分割しローテーションを組んで、毎年順次定植苗の更新を行う利用体系が実用的である。この場合の隔離ハウスの必要面積は、一般ほ場面積1ha当たり約17m2となる(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- ウイルスの再感染を防止するため、隔離ハウス栽培においてはアブラムシの予防に努めるとともに、定植前には必ず土壌消毒を実施する。また、一般ほ場においてもアブラムシの徹底防除に努める。
- 種芋を分割する場合には、芽の位置を確認し切断する。
- 分割した種芋は腐敗防止のためベンレートT希釈液に浸漬し、切り口を乾燥して伏せ込む。
- 隔離ハウス内の栽植距離や栽培管理等は現地慣行と同様で良い。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
乾燥
栽培技術
土壌消毒
防除
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