タイトル |
キュウリ根域制限栽培システムを利用した効率・効果的な太陽熱併用熱水土壌消毒法 |
担当機関 |
群馬県園芸試験場 |
研究期間 |
1997~2000 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
栽培土壌が遮根透水シートで制限された根域制限栽培システムと太陽熱土壌消毒法を併用した熱水土壌消毒法では、少量の熱水、燃料で栽培土壌全域が消毒されキュウリを自根で栽培しても土壌病害虫から回避でき、また他作物にも利用できる。
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背景・ねらい |
化学薬品による土壌消毒に替わる方法の一つとして、栽培土壌が遮根透水シートで耕地から隔離され、また灯油給湯器が設置されていて熱水が容易に散水できる根域制限栽培システムを利用し、太陽熱土壌消毒と併用した効率的な熱水土壌消毒法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 根域制限栽培システムの栽培ベッドは、遮根透水シートを幅50cm、深さ25cmに伏せ込み、栽培土壌を隔離する(図1、写真1)。
- 太陽熱土壌消毒では、土壌深度25cm以下は殺菌、殺線虫に効果的な温度に達しない(表1)。
- 太陽熱土壌消毒で最高地温到達時、灯油給湯器で75℃に昇温した熱水をベッド1m2当たり123リットルをかん水チューブで散水することにより、深度25cmの部分では地温60℃以上で9時間継続と、消毒に十分な温度と継続時間が確保できる(表1、写真2)。なお、消毒に必要な地温および継続時間は、55℃以上30分、または50℃以上8時間とされている。
- シートの有無による収量差はない(表2)。
- ネコブセンチュウの被害は無処理で激しく、太陽熱消毒のみでは地上部に被害が現れないが、根部には根こぶが認められる。つる割れ病についても無処理で被害が激しくなり、太陽熱消毒のみ及び臭化メチル消毒では地上部に病徴は現れないが、地際部の茎に本病に起因する維管束の変色が認められる。しかし、太陽熱消毒と熱水散水の併用処理では、ネコブセンチュウ及びつる割れ病の被害は認められない(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 太陽熱土壌消毒のみでは、夏期の外気温の年次変動等により消毒効果が不安定である。しかし、熱水散水を併用することで化学薬品を使用せずに安定的な土壌消毒ができる。
- 散水された熱水は横の広がりよりも下層に移動しやすいので、かん水チューブを2本とすることで、より少量で効率的な消毒が可能と考えられる。
- ハウス全体を同時に処理せず、数ブロックに分けて処理することにより、小出力の給湯器で対応できる。
- 10a当たりの消毒に要する灯油代は、試算で39,000円程度である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
害虫
きゅうり
土壌消毒
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