タイトル |
蚕品種および人工飼料の違いと3眠化剤添食の影響 |
担当機関 |
山梨県総合農業試験場 |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
4眠性の蚕に3眠化剤を添食すると高い確率で3眠蚕が得られ、細繊度繭糸を生産することができる。ただし、3眠化剤の添食と蚕品種及び飼料との組合せによっては化蛹歩合が著しく低下することがあり、これらの選択には十分な注意が必要である。
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背景・ねらい |
繭の高付加価値化のひとつとして、高級絹織物に適した細繊度繭の生産があげられる。これには、遺伝的に細繊度繭糸を吐く蚕品種(細繊度蚕品種)を選択する方法の他に、普通蚕品種に生理活性物質(3眠化剤)を添食して人為的に3眠蚕とし、繭糸を細繊度化する方法とがある。後者について、実用化を図るうえでの問題点をさぐるために飼育試験を行ったところ、蚕品種や飼育条件によっては、化蛹歩合が著しく低下するのでその原因を追究する。
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成果の内容・特徴 |
- 3眠化剤(SSP-11、140ppm)を3齢起蚕に48時間添食すると、蚕品種や飼料(桑か人工飼料か)を問わず95%以上の割合で3眠蚕が得られる。
- 添食方法は、人工飼料への練合が都合よく、このため、少なくとも3齢48時間目までは人工飼料育が適している。
- 添食後そのまま人工飼料育を続け、いわゆる全齢人工飼料育を行うと、蚕品種や人工飼料の種類によっては化蛹歩合が著しく低下する。
- 全齢人工飼料育蚕の3齢期に3眠化剤を添食した場合の化蛹歩合は、
(1)錦秋×鐘和と日137号×支146号との比較では、明らかに日137号×支146号で著しく劣る(表1)。 (2)蒸煮飼料(シルクメイトS)と湯練飼料(かんたん5)との比較では、蚕品種により傾向は異なるが、飼料の違いにより差が認められる。(表1、表2) (3)日137号×支146号の原種、日137号と支146号との比較では、支146号でやや劣る(表2)。
- 添食後の3齢期までを人工飼料育とし、4齢期から桑葉育に切り換えれば、化蛹歩合の低下は殆どみられない。
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成果の活用面・留意点 |
- 細繊度繭糸の生産を目的とする3眠化剤の利用にあたっては、当面1~3齢人工飼料育、4齢条桑育とするのが望ましい。
- 全齢人工飼料育で本法を行う場合には、蚕品種や飼料の選定に十分な注意が必要である。
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カテゴリ |
桑
高付加価値
品種
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