天敵昆虫ヒメハナカメムシ類の体表炭化水素による識別

タイトル 天敵昆虫ヒメハナカメムシ類の体表炭化水素による識別
担当機関 愛知県農業総合試験場
研究期間 1997~1999
研究担当者
発行年度 1997
要約 ヒメハナカメムシ類(Orius spp.)体表クチクラワックスの成分である体表炭化水素(CHC)をガスクロマトグラフ直結質量分析計(GC-MS)で分析することにより、従来、雌での同定が困難であったタイリクヒメハナカメムシ、コヒメハナカメムシ、ナミヒメハナカメムシを1個体の雌で識別することができる。
背景・ねらい 日本産のヒメハナカメムシ類(Orius spp.)は、7種が生息しており、うち4種については外見上で識別できるが、タイリクヒメハナカメムシO. strigicollis、コヒメハナカメムシO. minutus、ナミヒメハナカメムシO. sauteriの3種の同定については、雄交尾器の解剖、検鏡が必要であり、雌成虫での同定は困難である。一方、アリ、ハチなどでは種により体表炭化水素(CHC)が異なることが報告されている。そこで、上記3種をCHC組成の比較により識別が可能か検討した。
成果の内容・特徴
  1. 累代飼育した雌各100個体のガスクロマトグラフ直結質量分析によるCHCの主な成分は、タイリクヒメハナカメムシではheptacosene(図表中A、以下同様)、2-methyl-octacosane(B)、コヒメハナカメムシではnonacosene(C)、2-methyl-octacosane(B)、2-methyl-triacontane(D)、ナミヒメハナカメムシでは2-methyl-triacontane(D)、tritriaconteneとtritriacontadieneの混合物(F)、2-methyl-octacosane(B)、hentriacontene(E)で、3種間のCHCの組成および組成比にそれぞれ差がみられた(表1)。
  2. 累代飼育した雌1個体ずつ分析した結果、組成比に個体差がみられたものの、ほぼ類似しており3種間のCHCの組成に差が認められた(図1)。
  3. 野外採集した雌1個体でもCHC組成比較により確実に同定できた。
成果の活用面・留意点
  1. ヒメハナカメムシ類大量増殖の際、種の品質管理に応用できる。
  2. 羽化直後の成虫は体表炭化水素の組成が不安定な場合があるため、羽化後2日齢以上経過した個体を分析する。
図表1 215520-1.gif
図表2 215520-2.gif
カテゴリ カメムシ

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