酪農主要産地における平成17年の経産牛飼養頭数規模別農家構成の推定

タイトル 酪農主要産地における平成17年の経産牛飼養頭数規模別農家構成の推定
担当機関 農業研究センター
研究期間 1997~1997
研究担当者
発行年度 1997
要約 経営者を対象としたアンケート調査に基づいて酪農主要産地の10年後(平成17年)の経産牛飼養頭数規模別農家構成を推定すると、網走、十勝、釧路、根室の各支庁及び愛知県では50~79頭層に半数近くが集中する。栃木、熊本県は40~79頭層が40%前後を占め、岩手県は少頭数飼養経営が残り29頭以下層が全体の50%弱を占める。
背景・ねらい 我が国の酪農は、1戸当たりの飼養頭数の急速な拡大や飼養戸数の急減等、生産構造が大きく変化しており、今後の生産構造の変化の方向を把握することが政策的対応や技術開発の方向性を検討していく上で重要になっている。そこで、経営者を対象としたアンケート調査(中央酪農会議「全国酪農基礎調査」平成7年)に基づいて酪農主要産地(網走支庁、十勝支庁、釧路支庁、根室支庁、岩手県、栃木県、愛知県、熊本県)における10年後(平成17年)の経産牛飼養頭数規模別農家構成を推定する。
成果の内容・特徴
  1. 95センサスの酪農家数に対するアンケート回収率は網走78、十勝68、釧路54、根室51、岩手72、栃木82、愛知100、熊本60%で、センサスと回収データとの頭数規模別農家構成に大差ない。
  2. 5年後を目途として酪農継続の有無と継続の場合の5年後の目標飼養頭数に基づいて、酪農中止農家比率、現状と5年後の経産牛飼養頭数対比による階層間移動別農家比率をみると(表1)、酪農中止農家比率は、各地域とも少頭数層で高い傾向にあり、1~9頭層約30~70%(但し、回答数の少ない根室を除く)、10~19頭層約20~50%(前同)に達している。
  3. 階層間移動をみると、全地域で20~49頭層で上層へ移動する農家比率が高く、とりわけ30~39頭層及び40~49頭層において、その傾向が著しい。一方50~79頭層では同一階層に止まる農家比率が高く、熊本を除く各地域で半数以上が同一階層に止まるとしている。また、80~99頭層は愛知、栃木で上層へ移動農家比率が最も高いが、他地域では下層へ移動する農家比率が最多となっている。さらに、北海道の各地域では100~149頭層でも下層へ移動する農家比率が最も高くなっている。
    なお、増頭意向農家の多くは現有施設の範囲内で増頭意向が多いため、直近層への移動が多い。
  4. 現状から5年後目標頭数への頭数階層間移動率が同一のまま、さらに5年間継続すると仮定して、10年後の経産牛飼養頭数規模別の農家構成を推定した(表2)。現状対比10年後の戸数の減少率は釧路、根室が10%で最も少なく、岩手33%、他は20%前後に達している。
  5. 経産牛飼養頭数規模別農家構成をみると、北海道の各地域では50~79頭層への集中が進み10年後には同階層が全農家の40~50%弱を占め、同時に網走、十勝、釧路では100頭以上層の農家比率も上昇し、10年後には全体の10~20%に達する。
    岩手県は10~19頭層を軸に農家増減が続くが、10年後も少頭数飼養経営は残り、29頭以下層が全酪農家の50%弱、49頭以下層が全体の3/4に達する。
    栃木県は40頭以上層で比率が高まり、10年後には40~79頭層が43%、このうち増加率の大きい50~79頭層をみると25%を占め、また100頭以上層が10%に達する。
    愛知県は50~79頭層への集中化と100頭以上層の増加が進み、10年後は50~79頭層が全酪農家の47%、100頭以上層が16%を占める。
    熊本県は40頭以上層の比率が高まり、10年後には40~79頭層が36%に達する。
成果の活用面・留意点
  1. 従来の大規模経営を中心とした技術開発のみではなく、中規模層(40~79頭)を対象とした技術開発の必要性が示唆される。
  2. 10年後の頭数規模別農家構成は5年後目標による階層間移動率が後5年同一のまま移動するという前提によるものである。
  3. アンケート回収率のやや低い釧路、根室では19頭以下の少頭数階層の回答数が少ない。
カテゴリ 経営管理 大規模経営 乳牛

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