タイトル |
クモヘリカメムシの卵寄生蜂の種類 |
担当機関 |
茨城県農業総合センター |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
斑点米の原因となるクモヘリカメムシの卵を採集したところ、ヘリカメクロタマゴバチ、ホソヘリクロタマゴバチ、カメムシタマゴトビコバチの3種の卵寄生蜂の寄生が認められた。優占種は、ヘリカメクロタマゴバチと考えられた。
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背景・ねらい |
茨城県では、県北部を中心に水稲でクモヘリカメムシの発生が多く、斑点米多発の原因となっている。斑点米を完全に防止するには複数回の殺虫剤散布が必要であるが、防除時期から収穫までの期間が短いことや高齢化・兼業化による労力低下の面から、実際には複数回の防除は困難となっている。そこで、農薬による防除を補完する天敵等を利用した防除法を開発する第一歩として、水田におけるクモヘリカメムシの卵寄生蜂の実態を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 那珂郡美和村の水田において、イネ葉上に産卵されていたクモヘリカメムシの卵を採集したところ、卵寄生蜂の寄生を確認した。平成7年の卵塊寄生率は22.9~61.8%、卵粒寄生率は15.6~32.7%、寄生卵塊における卵粒寄生率は54.0~68.7%であった(表1)。平成8年の卵塊寄生率は62.5~83.3%、卵粒寄生率は51.5~79.8%、寄生卵塊における卵粒寄生率は89.2~90.4%であった(表2)。
- 卵寄生蜂の種類は、ヘリカメクロタマゴバチ、ホソヘリクロタマゴバチ、カメムシタマゴトビコバチの3種であった。被寄生卵塊における卵寄生蜂の卵塊寄生率は、ヘリカメクロタマゴバチが90%以上を占め(表3)、本種が優占種と考えられる。
- ヘリカメクロタマゴバチ及びホソヘリクロタマゴバチは単寄生、カメムシタマゴトビコバチは単寄生あるいは多寄生(羽化数1~2頭/寄生卵)であった。平成8年8月7日の調査では、1卵塊から2種の卵寄生蜂の羽化が認められた(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
卵寄生蜂はクモヘリカメムシ密度の抑制要因として防除技術への応用が期待できるが、発生消長や寄生活動等についての研究が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
カメムシ
水田
水稲
農薬
斑点米
防除
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