タイトル |
芳香誘引剤によるアシナガコガネ成虫の大量誘引 |
担当機関 |
茨城県農業総合センター |
研究期間 |
1997~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
フェネチルアルコールと酢酸ゲラニルを成分とする芳香剤は,アシナガコガネ成虫に対して強い誘引効果を示し,この芳香剤を取り付けたトラップで成虫を大量に捕獲することができ,白色湿式トラップとの併用でさらに捕獲数が増加した。
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背景・ねらい |
アシナガコガネ幼虫はシバの地下部を加害し,成虫は各種の花や新葉を加害するためにシバ生産地やゴルフ場などで重要な害虫である。さらに,成虫は白色に強く誘引されるので周辺住宅の洗濯物などに集まり,住宅から不快害虫としての苦情が多い。発生地では薬剤散布や白色湿式トラップによる大量捕獲が試みられているが,十分な防除効果は得られていない。一方,フェネチルアルコールと酢酸ゲラニルを成分とする芳香剤(日本たばこ産業社製)は,成虫に対して強い誘引活性が認められることから,本芳香剤を使用したトラップの誘引効果について検討した。
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成果の内容・特徴 |
- フェネチルアルコールと酢酸ゲラニルを成分とする芳香剤(混合比4:1)は,アシナガコガネ成虫に高い誘引効果を示し,芳香剤1gを取り付けた緑色乾式トラップ(日本たばこ産業社製ウィンズパック,径15.5cm,以下芳香剤トラップとする)の捕獲虫数は,成虫発生期間を通して1トラップ当たり30万頭であり,白色湿式トラップ(サンケイ社製,径23cm,芳香誘引剤のアネトールは取り付けない。以下白色トラップとする)の8万頭よりも優る大量の成虫を捕獲した。また,この芳香剤を白色トラップに取り付けることにより,捕獲数はさらに増加した(図1)。
- 成虫は芳香剤トラップに4月下旬から捕獲され,5月中下旬の天気の良い午前中に集中して捕獲され,1トラップに1日当たり最高6万頭が捕獲された(図1,図2)。
- 芳香剤トラップに捕獲された成虫のうち雌の占める割合は,発生初期に10~20%であったが,以後急激に上昇して発生最盛期以降には80%以上になった。この芳香剤トラップに捕獲された成虫の性比は,白色湿式トラップでの捕獲虫および野外植物からの採集虫の性比と同様の推移を示した(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
芳香剤トラップ1台当たりの捕獲数は,多発生圃場におけるアシナガコガネ成虫の発生量(約17万頭/10a)に匹敵し、大量捕獲による防除に利用することが可能と考えられる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
たばこ
防除
薬剤
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