タイトル |
エン麦導入による露地野菜畑の硝酸態窒素溶脱軽減と減肥効果 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
露地野菜畑にエン麦を導入することによって、硝酸態窒素の溶脱を軽減できる。緑肥としてすき込むと秋冬とりキャベツの施肥窒素を減肥でき、2割減肥での収量は、化成肥料で140%、緩効性肥料では150~160%に増収する。
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背景・ねらい |
地野菜産地では堆きゅう肥の多量施用や化学肥料に由来する窒素の溶脱によって、硝酸態窒素の地下水汚染が懸念されている。そこで、キャベツ連作圃場で硝酸態窒素の土壌中での動態を調査し、さらに硝酸態窒素の溶脱軽減対策として、休閑期にエン麦を導入し緑肥としてすき込み、施肥窒素の削減効果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
秋冬とりキャベツ連作圃場で作土~2m下層までの土壌溶液中の硝酸態窒素濃度を経年的に調査した。伸根性のエン麦を導入することによって硝酸態窒素の溶脱を軽減できる。エン麦すき込み後のキャベツ収量は施肥窒素量を2割程度削減しても、大幅な収量増が期待できる。
- キャベツ畑で作土~2m下層までの土壌溶液中の硝酸態窒素濃度を計測した。施肥後および鶏糞施用後に硝酸態窒素の作土から下層土への移行が確認された(図1、図2)。
- エン麦(1月下旬~7月上旬)を導入することで、硝酸態窒素の作土から下層への溶脱を軽減することができる(図2)。緩効性窒素肥料の硝酸態窒素溶脱軽減効果は明らかでない(図2の平成3~4年)。
- エン麦を緑肥としてすき込むと,キャベツ収量(単作畑に対する収量比)は化成肥料区160%、同2割減肥140%、緩効性肥料全量基肥160%、同2割減肥区150%に高まった。緩効性肥料の全量基肥では追肥を削減でき、2割減肥でも高い収量が期待できる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 秋冬とりキャベツあとのエン麦は無肥料とし,1~2月に播種,第1回の刈り取りを5月下旬~6月上旬の出穂期に、根際から10~15cm程度の高刈りをし、そのまま土壌表面を被覆する。7月上旬の出穂前に第2回の刈り取りを行う。エン麦の土壌すき込みはキャベツ定植前の25~30日とする。
- エン麦の窒素吸収量は一番刈り:平均19kg/10a、二番刈り:4.0kg/10a、C/N比は一番刈り17、二番刈り26である。
- エン麦によって、風食害,降雨による土壌表面の侵食を防止できる。
- 緩効性窒素肥料は、溶出期間が100~120タイプの被覆窒素肥料、化学合成緩効性肥料、同程度に肥効が期待できる硝酸化成抑制剤入り窒素肥料のいずれでもよい。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
えん麦
キャベツ
栽培技術
施肥
鶏
播種
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