タイトル |
晩植水稲施肥に対する窒素・リン酸の育苗箱全量施肥法 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
本田に必要な窒素、リン酸の全量を育苗箱に施用する。窒素はシグモイド60タイプの被覆尿素を用い、リン酸は熔成リン肥で覆土する。本田施肥の省力化、窒素、リン酸の利用率向上、施肥窒素の減肥が可能。育苗期間は20~25日が限度である。
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背景・ねらい |
二毛作田では麦の収穫期から田植までの短期間に農作業が集中し、この期間の作業競合の回避が大きな課題である。また、低コスト、 環境保全の観点から肥料成分の利用率向上による施肥量の削減が求められている。そこで。本田施肥の省力化として、窒素、リン酸の全量を育苗箱に施用する育苗箱全量基肥法を確立するため、6月中下旬田植えに適用できる被覆尿素を選定し、本田への肥効を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 箱当たり床土(1800g)とLPS60(533g)を混用、または床土の上に被覆尿素を施用し、灌水、播種後、熔成リン肥(1000g)で覆土する。
- 播種~緑化までの出芽期および苗床の育苗期間の生育には問題ない。移植時の窒素含有率は慣行苗に比べて、わずかに高いが、苗質に遜色は認められない(表1)。
- 生育初期から中期の生育が良好となり、LPS60の窒素溶出の推移は本田の水稲窒素吸収量に比較的よく一致し(図1)、穂数の確保に有効である。慣行標準施肥区(N:8kg/10a)に 比べて、窒素2割減肥区の収量指数(平成6~7年の苗箱全量施肥は窒素のみ、リン酸、加里は本田に施用)は108~116%、窒素利用率は慣行区の35.6~38.8%に対して、60~86%に高 まる(表2)。
- 窒素+熔成リン肥覆土(P2O55.1kg/10a、N:36%減肥)区の収量・玄米品質は慣行施肥区と同程度である。リン酸利用率は慣行区30%に対して熔成リン肥覆土区は37%に高まる(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本施肥法は基肥時期の作業競合の面から二毛作地帯への普及が期待される。
- 育苗法によっては苗が徒長しやすいので、以下の点に留意する。
1)苗床は無肥料とする。施肥した苗床では遮根シートを使用する。 2)LPS60の窒素溶出が始まると、苗が徒長するので、育苗期間は播種後20~25日を限度とする。
- 熔成リン肥は砂状を使用し、土壌と混和しない。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
育苗
省力化
水稲
施肥
低コスト
二毛作
播種
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