タイトル |
反応速度論的手法による有機質肥料の窒素無機化率の測定と評価 |
担当機関 |
神奈川県農業総合研究所 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
反応速度論的手法によって得られた窒素無機化特性値と日平均地温から計算した有機質肥料の窒素無機化推定値は,埋設法による実測値とほぼ一致する結果が得られ,本法を用いることにより有機質肥料の時期別窒素無機化率の予測が可能となる。
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背景・ねらい |
窒素肥料の多用により農耕地に由来する地下水の硝酸性窒素の汚染が危惧され,全国的に環境保全型農業が展開されている。窒素の溶脱を軽減するためには作物の養分吸収特性に基づいた施肥が重要であり,多くの肥効調節型肥料の開発と施肥法が検討されている。緩効性窒素肥料的な肥効の期待される有機質肥料については,一定温度での窒素無機化率の検討事例は多いが,地温に依存した時期別の窒素無機化率についての検討は少ない。このため,反応速度論的手法により,有機質肥料の窒素無機化量を推定するとともに,圃場埋設試験により推定式の適合性を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 淡色黒ボク土と3種の有機質肥料を供試して温度3段階(20,25,30℃)でビン培養法により検討した結果,単純型モデルN=N0[1-exp(-k・t)]に適合した。
- 菜種油粕,骨粉及び魚粕の無機化特性値は,可分解性窒素量(N0)がそれぞれ64.0,61.1,73.3(mgN/100mgN),速度定数(k)がそれぞれ0.172,0.205,0.173(day-1),活性化エネルギー(Ea)がそれぞれ16,450,13,800,12,380(cal mol-1)であった(表1)。
- 圃場埋設試験による窒素無機化率の実測値と,同時期の日平均地温を用いた窒素無機化量の推定値を比較した結果,夏期及び秋期では夏期の骨粉を除くと両者の値はほぼ一致した。しかし,冬期では施肥直後に4日程度のラグタイムがあり,推定式の適合性が劣ったが,3週間以降は菜種油粕を除くと両者の値はほぼ一致した(表2,図1,図2,図3)。
- 平均地温が10℃以下の低温期における施肥直後を除くと,推定式の適合性が高いことから,本法は有機質肥料の無機化予測に対する実用性の高いことが明らかとなった。
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成果の活用面・留意点 |
- 本成果は淡色黒ボク土に適応できる。
- 反応速度論的手法により,有機質肥料の栽培時期における窒素無機化率の情報の提供が可能になる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
土づくり
肥料
施肥
タイム
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