タイトル |
屑すいかの堆肥化技術の検討 |
担当機関 |
神奈川県農業総合研究所 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
屑すいか(末成りすいか)にスイートコーン茎葉とコーヒー粕を混合し、縦型発酵槽により約20日間、箱形二次発酵槽により約2か月間堆積することにより、堆肥化することができる。この堆肥は、窒素とカリが多く、肥料効果が高い。
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背景・ねらい |
野菜生産環境保全の面から、野菜の収穫屑及び出荷調整による処分野菜の有効活用が望まれている。とりわけ、三浦半島の露地野菜地帯ではダイコン及びすいか屑の処理が大きな問題となっている。そのため、収穫後の屑すいか(末成りすいか)を堆肥化し、農業資材として有効活用する技術を開発する。この結果、農業環境の保全に役立つことができる。
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成果の内容・特徴 |
- 収穫後の屑すいか(末成りすいか)は、糖含量と水分含量が高く、堆肥化が困難な資材であるが、含水率が小さく吸水性の良い資材と混合して堆肥化することができる。
- 屑すいか767kgを10~20cmの大きさに細断し、94.8kgのスイートコーン茎葉と118.2kgのコーヒー粕乾燥物を混合して堆肥化する(表1)。コーヒー粕は含水率の調整とアンモニアの吸着による悪臭防止に、スイートコーン茎葉は空隙の確保による通気性の改善に役立つ。
- 発酵装置及び堆積期間は、一次発酵が通気装置付き縦型発酵槽(1,200L容)で23日間、二次発酵が通気装置付き箱形発酵槽(1,000L容)で66日間。一次発酵中は60℃を超す発熱がみられたが、同時に廃液 224kgが発生(図1)。二次発酵を終えた製品は、もとの22.8%になり、すいかの皮が一部残るだけで、スイートコーンの形状だけが目立つ黒褐色の堆肥となる。
- 屑すいかのC/N比は15程度であるが、混合原料のC/N比は20。C/N比は、一次発酵により15、二次発酵により10以下になり、肥料効果の期待できる堆肥となる。完成した堆肥は、C/N比 8.7、窒素5.1%、リン酸0.5%、カリ3.5%(乾物含量)である(表2)。
- 完成した堆肥を用いて、無化学肥料でコマツナを栽培した結果(表3)、障害はみられず、初期生育が優れ、肥料効果の高い堆肥として使用できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 屑すいか以外にも屑ダイコンでも堆肥化試験を行っており、縦型発酵槽の使用と含水率の低い資材の組み合わせにより、含水率の高い野菜屑も堆肥化が可能。
- すいかのように窒素の多い資材はアンモニアによる悪臭発生の恐れがあるが、コーヒー粕混合によりアンモニア発生を抑制することができる。
- すいかでは多量の廃液が装置外に流出する。廃液は糖を含む液であり、この処理に問題が残る。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
乾燥
こまつな
出荷調整
すいか
だいこん
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