タイトル |
家畜ふん堆肥施用が浅層地下水のトリハロメタン生成能におよぼす影響 |
担当機関 |
愛知県農業総合試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
家畜ふん堆肥の施用により、有機物が流下し、下層土の土壌溶液中の溶存有機態炭素(DOC)が増加する。浅層地下水にも影響し、DOCの増加に伴いトリハロメタン生成能が高まる。DOC当たりのトリハロメタン生成能は0.009~0.075mg/DOC-Cmgであった。
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背景・ねらい |
省資源・環境保全の見地から家畜ふん堆肥の施用法の確立が求められているが、不適切な家畜ふん堆肥の投入は、地下水などの水域の窒素汚染や有機物の富化を招くおそれがある。この有機物が飲料水源に流入した場合、トリハロメタン生成能の増大が懸念される。そこで、野菜栽培地域の土壌溶液、浅層地下水の溶存有機態炭素(DOC)とトリハロメタン生成能について家畜ふん堆肥施用の影響を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 中粗粒灰色台地土(愛知県農業総合試験場)において、露地ダイコン栽培期間中のポーラスカップ法によって採取した土壌溶液のDOCは、牛ふん堆肥区(3t/10a)で化学肥料区と比較して高かった。特に栽培期間後半には、60cmの深さでも100mgC/Lまで増加した(図1)。
- 家畜ふん堆肥の施用が行われている礫質灰色低地土の露地野菜栽培地域(渥美町)の浅層地下水(深さ2.6m~8.0m)のDOCは、1.3~15.0mgC/Lの範囲にあり、深いほど低濃度で、深さ8.0mの地下水では、最大値は5.9mgC/Lであった(表1)。
- 礫質灰色低地土地域の浅層地下水におけるトリハロメタン生成能は、井戸A0.076~0.186mgC/L、井戸B0.060~0.135mg/L、井戸C0.034~0.174mg/L、井戸D0.026~0.145mg/Lであり、DOCとの間に正の相関(r=0.636)が認められた(図2)。DOC1mg当たり0.009~0.075mgのトリハロメタン生成能が認められたが、採取井戸によりトリハロメタン生成能が異なった。最も深い井戸DではDOC1mg当たり0.011~0.075mgのトリハロメタン生成能があり、他の井戸より高かった(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 砂礫質土地域での畜ふん堆肥施用においては、有機物が流下し、下層土の土壌溶液あるいは浅層地下水中の有機物濃度が高まる可能性があることに留意する。
- DOCの構成成分の違いによりトリハロメタン生成能が異なる可能性がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
肥料
だいこん
野菜栽培
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