タイトル |
水生植物栽培水田を活用した高NO3-N濃度湧水の浄化 |
担当機関 |
三重県農業技術センター |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
水生植物栽培水田の窒素浄化能はポンテデリア>花菖蒲>エンサイ>イグサの順に高く、浄化能の95%が脱窒によるものであるが、植物による窒素吸収量は生育時期の異なる植物を組み合わせることで3月~11月まで高く維持できる。
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背景・ねらい |
本県の鈴鹿山麓に広がる扇状地では茶・花木産地が形成されており、浅層地下水を茶園や下流域の水田の灌漑水として利用するマンボと呼ばれる地下導水路が発達しているが、マンボ水の硝酸態窒素濃度は総じて水道水水質基準の10ppmを超えており、早急な環境保全対策が 求められている。そこで、こうした大水量で低濃度の農業系排水の浄化対策として水田の窒素浄化機能を活用した資源循環型の浄化システムを構築するため、水生植物栽培水田の浄化能力を明らかにし、実用化のための基礎資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- ポンテデリア、花菖蒲、イグサ、エンサイを植栽した試験水田(548m2)に平均全窒素濃度21.5ppm、日平均37‰の灌漑水を365日間流入させた結果、流入窒素量(301kg)の39%が表面流出水(31%)と地下浸透水(8%)として流出し、61%が浄化された。土壌への窒素の蓄積が認められないことから、浄化のうち5%は植物吸収により、95%は主として脱窒によると考えられる(図1)。
- 年間の窒素浄化能はポンテデリアが1.58g/m2/dayと最も高く、次いで花菖蒲>エンサイ>イグサ>裸地の順である。一方、地下への溶脱量は花菖蒲&st;エンサイ<ポンテデリア<イグサの順に多くなるが、いずれも裸地の溶脱量の50%以下である(図1)。
- 植物体による窒素の吸収量はポンテデリア>イグサ>エンサイ>花菖蒲の順に高く、水稲の平均値に対してポンテデリアは約3倍、花菖蒲は同等の吸収量である(図1)。
- 各植物の窒素吸収が旺盛となる時期はイグサ及び花菖蒲が3月~5月、ポンテデリアが4月~8月、エンサイが8月~11月であり、植物による窒素吸収量は生育時期の異なる4種類の植物を組み合わせることで3月~11月まで高く維持できる(図2)。
- 各時期とも植栽区と裸地区の窒素浄化量の差は植物体の窒素吸収量より大きく、またその差は春期~夏期に大きくなることから、植栽による脱窒機能の向上や藻類等による吸収能が向上するものと考えられる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 窒素負荷量の高い畑地の浅層地下水は畑地-水田連鎖を図ることで高い窒素浄化機能が期待でき、環境への農業系からの窒素負荷を軽減できる。
- 本成果は通常の水田に比べて減水深が2~3倍大きい水田で行った結果である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
いぐさ
エンサイ
水田
茶
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