タイトル |
側条施肥田植機を利用した水稲良食味品種の作溝条播栽培法 |
担当機関 |
栃木県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
施肥田植機に湛直アタッチメントを装着して作溝条播を行う場合、圃場の硬さは下げ振り深7~10cmが好適であり、柔らかいほ場では作溝深を浅くする。本栽培法では、播種量を4.5kg/10a(乾籾)とすると必要苗立ち数100~130本/m2を確保できる。本栽培法では表層散播より倒伏が少なくなる。
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背景・ねらい |
水稲湛水直播栽培体系の確立が急がれているが、散播方式でコシヒカリを栽培すると倒伏が問題となる。一方、作溝条播方式は株元が覆土されるため、散播よりも耐倒伏性に優れている。そこで、既存の施肥田植機を利用した作溝無覆土条播方式による良食味米の湛水直播栽培法を確立し、直播導入に資する。
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成果の内容・特徴 |
- 本播種法は作溝無覆土条播方式であり、市販の側条施肥田植機(SPA-6AESMGIF)に直播アタッチメント(DS-6)を装着して播種する。作溝深は植付部感度(フィットセンサ-NO.1~7)により調節する(写真1)。
- 溝の形状は、圃場の硬さ、フィットセンサNO.に関係なく逆台形型となる。作溝深は、柔らかい代(下げ振り深10~12cm)では深くなるが、深すぎると作溝直後に土が戻りやすくなり、溝は埋まってしまう。また、硬い代(下げ振り深4cm)ではフィットセンサ-NO.を大きくしても、作溝深不足で種籾が表面播きになる(表1)。
- 苗立ち率は、下げ振り深4~7cm程度の硬い~やや硬いほ場で高くなるが、硬いと溝が浅く出芽深を確保できない。下げ振り深10cm程度のやや柔らかいほ場では、フィトセンサ-NO.を小さくして作溝深を浅くすれば、苗立ち数を確保できる(表2)。
- 以上の結果から、本播種法に適した作溝程度は、下げ振り深7cm程度のやや硬い場合はフィットセンサ-NO.1~7、下げ振り深10cm程度のやや柔らかい場合はフィットセンサ-NO.1~4である。
- 目標苗立ち数(コシヒカリ100~130本/m2)を確保するため、播種時期は5月第2半旬とし、種籾はカルパー処理を行う(1倍重コーティング)。
- 播種量が5.5kg/10a(乾籾)では苗立ち数、生育量が多くなるが、倒伏も多くなる。4.5kg/10aでは5.5kg/10aよりも倒伏が少なく、収量は同程度となる。従って、播種量は4.5kg/10aが好ましい(表2,表3)。
- 作溝条播の稲は、表層散播に比べ、初期の生育量はやや小さいが、最高分げつ期頃にはほぼ同程度となる。収量は条播、散播ともに同程度だが、条播では総籾数を確保しつつ倒伏を少なくすることができる(表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 繰り出し量の調整を十分に行い、種籾の適量播種に留意する。
- 移植栽培より基肥窒素を減らし、穂肥を遅らせることで、過剰生育を防ぐ。
- 苗立ちを均一にするため、ほ場の均平に留意する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
直播栽培
水稲
施肥
播種
品種
良食味
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