タイトル |
栄養診断、出穂始期葉面散布による小麦の多収・粗蛋白含有率適正化技術 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1993~1995 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
小麦農林61号の窒素施肥を、基肥8kg/10a、6葉期追肥2kg/10aの標準施肥に加え、出穂始期に尿素・エテホン混液を葉面散布することにより、収量、粗蛋白含有率が向上し、稈長が短く倒伏がなくなる。この葉面散布は、8葉期の植物体窒素含有率が4%以上では必要ない。
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背景・ねらい |
本県の小麦は、作付の約85%が農林61号であるが、近年実需者より粗蛋白含量の低下が指摘されている。対策としては、出穂期の追肥を行うことにより粗蛋白含量が向上するが、熟期の遅れや倒伏の問題が起きる。この問題を解決しようとした。
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成果の内容・特徴 |
改善した栽培法は、本県水田裏作麦の標準施肥法である基肥窒素8kg/10a、2月下旬窒素追肥(6葉期)2kg/10aを施用した上に、8葉期に窒素栄養診断を行い、基準以下の場合出穂始期に尿素2%及びエテホン500倍液混液を160リットル/10a葉面散布する体系である。
- 小麦8葉期の植物体窒素含有率が4%以上であれば、出穂始期に追肥しなくとも適正粗蛋白含量(9.5%以上)となり(図1)、この値以下の場合は上記の出穂始期追肥を行う。なお、8葉期の植物体窒素含有率と、葉緑素計SPAD501の値(主茎の完全展開第2葉を測定)とは高い正相関(r=.978**)がある。窒素含有率をSPAD501に変換する回帰式は、y=6.5x+27.8である。窒素含有率4%は、SPAD501値54に相当する。
- 追肥により子実の粗蛋白含有率は向上するが、特に出穂始期追肥により、確実に適正粗蛋白含有率値内に入る(図2)。
- 標準施肥の追肥時期を出穂始期とした体系ではめざましい収量の向上はないが、標準施肥に加えて出穂始期追肥を行うと収量性が著しく高くなる(表1)。
- 標準施肥+出穂始期追肥は、稈長が伸びて倒伏、熟期の遅れが目立つ。エテホンを混用することにより稈長は短く、倒伏は起こらない。また、熟期の遅れもない(表1、図3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本法は、水田裏作の農林61号を対象としている。
- 葉面散布は、出穂始期を逸すると効果が低下する。早すぎると出すくみ穂となるので必ず適期に散布を行う。また、使用量を厳守する。
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カテゴリ |
肥料
栄養診断
小麦
水田
施肥
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