タイトル |
乾田直播栽培における苗立ち安定化のための土壌水分管理 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1996~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1997 |
要約 |
水稲の乾田直播栽培では、播種後の地下水位が10cmと高く土壌水分(含水比)が70~85%でも湿害を受けない。適土壌水分は50~80%であり、45%以下に乾燥すると出芽が劣る。播種直後では1日以上、出芽始期~盛期では2日以上湛水を続けると出芽が劣るので排水する。
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背景・ねらい |
乾田直播栽培は省力的な水稲栽培技術であり、湿田の多い千葉県でも、条件が整った圃場では普及が可能である。乾田直播栽培で安定した収量を確保するには苗立ちの安定化が最も重要である。そのために最も好適な播種後の土壌水分管理法を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- 壌土における降雨が多い湿潤な条件では、地下水位が10~20cmと高く、土壌水分(含水比、以下同様)70~85%、pF1.0~1.5であっても出芽は良好で、湿害を受け出芽が抑制されることはない(図1)。
- 降雨が少なく乾燥条件が続く場合には、地下水位20cm(土壌水分46~51%)に比べ地下水位40cm(40~44%)~60cm(36~44%)では出芽が劣り(図2)、壌土における出芽にとって乾燥の限界は土壌水分45%程度と考えられる。
- 播種後の湛水はとくに播種直後1日でも出芽が抑制される(図3)。播種後日数が経過すると湛水の影響は小さくなり、播種後5日(出芽始期)以降では2日以上の湛水が続かなければ出芽に対する影響はほとんど認められない(図4)。
- 圃場の土壌のpFと土壌水分との関係は土壌の砕土条件等により、同一土壌水分でもpF値は異なるが、出芽にとって乾燥の限界となる条件は土壌水分で45%程度、pF値で2.2程度が目安となる。
- 以上の結果から、壌土においては、乾田直播栽培の種子の出芽にとって、地下水位が10cmと高く、土壌水分が70~85%程度であっても湛水しなければ出芽は良い。地下水位が60cm以下では播種位置の土壌水分が45%、pFが2.2程度に乾燥すると出芽が抑制されるので、水分を供給する必要がある。また、播種後の湛水は出芽始期以降であれば1日程度を限界とし、2日以上は湛水が続かないように排水する。
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成果の活用面・留意点 |
- 乾田直播栽培においては出芽を早く揃えることと苗立ち数の確保は重要であるので、必要に応じて土壌に水分を供給する。
- 播種深度を約3cmと適正にする。
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カテゴリ |
乾燥
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水稲
播種
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