紫黒糯水稲新品種「信交糯144号」

タイトル 紫黒糯水稲新品種「信交糯144号」
担当機関 長野県農事試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 水稲新品種「信交糯144号」は長野県で「コシヒカリ」よりやや晩い“中生の晩"の紫黒糯で脱粒性“難"の、良質な品種である。平成10年度から長野県の特産的品種として普及に移した。
背景・ねらい 本県では、特産品として有色素米を利用した加工品の開発が行われており、「赤飯」、「紫餅」、「おかき」、「紫麺」、「赤い酒」、「笹ずし」などに利用されている。栽培されている品種は、「稀珍黒米」など中国産品種で、脱粒性、収量性、いもち病等に問題があり、これらに替わる品種が要望されていた。
このため脱粒性難、良質の紫黒糯品種を育成・普及することにより、地域振興に寄与する。
成果の内容・特徴
  1. 「信交糯144号」は平成3年、「カグヤモチ」を母に、「東北糯149号」を父として交配を行い、育成した良質・脱粒性難の品種である。
  2. 出穂期は「ながのもち」と同等、成熟期は「ながのもち」より2~3日晩い、“中生晩"である(表1)。
  3. 稈長は「ながのもち」とほぼ同じであるが、耐倒伏性はやや劣る(表1)。
  4. いもち病真性抵抗性遺伝子は Pi-aと推定され、圃場抵抗性は葉いもちが“やや弱"、穂いもちは“やや強"である(表1)。
  5. 収量性は「ながのもち」より20%程度低い(表1)。
  6. 生育初期から登熟中期まで、葉縁、葉鞘は紫色を呈する。また、葉舌、ふ先などは紫 色に着色し、一般品種とは容易に識別できる。
  7. 玄米は果皮部がアントシアニン系の濃い紫色(黒紫色)を呈する。胚乳部は白いため、
    完全に搗精すると一般の糯品種と同様の白色となる。
  8. 果皮部の色素を利用して赤飯にする場合、単品の場合は7~8分搗きにしてわずかに
    紫色の果皮を残した米を蒸すと、全体が赤紫色を呈する。また、果皮を傷つける程度に
    搗精し、一般糯米と混米しても赤紫色の赤飯となる。
  9. 「赤飯」、「紫餅」の他に果皮部の色素を利用して「おかき」、「紫麺」、「赤い酒」、「笹ずし」、「染色原料」等、地域特産物に利用できる。
成果の活用面・留意点
  1. 普及地帯は標高700m(東信の霧下および中信北部、北信は600m)以下の地帯。
  2. 一般米に混入すると異種混入で規格外となるので、混種防止のため農業改良普及センターの指導の下で同一圃場において栽培して落穂、落籾等による混種を防止する。
  3. 耐冷性は比較的強いが、冷温襲来時には深水管理等の冷害対策を実施する。
  4. 圃場でのいもち病の抵抗性は強くないので、多肥栽培を避け、適期防除に努める。
図表1 215652-1.gif
カテゴリ 病害虫 いもち病 かき 加工 新品種 水稲 抵抗性 抵抗性遺伝子 凍害 品種 防除 水管理

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