タイトル |
施肥窒素減量栽培に向く品種の選定と移植時期 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
本田生育期間の長い「コシヒカリ」は、地力窒素の吸収期間も長く、移植期を4月中旬まで前進することで基肥窒素を60%程度減量できる。早生品種では、「ふさおとめ」の方が「はなの舞い」に比べて基肥窒素量を約50%減量できる。
|
背景・ねらい |
環境にやさしい稲づくりでは、化学肥料による基肥窒素を減量するために、窒素源を有機物に代替したり土壌由来の窒素の吸収量を促す必要がある。ここでは、地力窒素の利用効率を高めて基肥施肥窒素の減量を図るため、適性品種の選定と移植時期について、中粗粒強グライ土(壌土の湿田)の稲わら堆肥1t/10a連用圃場において稚苗移植栽培で検討した。なお、供試土壌の可給態窒素量(湛水静置培養)は約16mg/100g、無機態窒素生成量は幼穂形成期(30℃培養4週間)までは4mg/100g、成熟期(30℃培養10週間)までは8.5mg/100gである。
|
成果の内容・特徴 |
- 移植から幼穂形成期までに吸収された窒素量で穂数がほぼ決まる。本田生育期間の長い品種は土壌由来の窒素吸収量が多くなる(図1)。
- 施肥窒素無施用栽培での収量レベルは早生品種に比べて晩生品種で多く、広く普及している品種の中では「コシヒカリ」が窒素減量栽培に適している(図2)。
- 「コシヒカリ」は、5月上旬移植に比べて4月中旬移植の方が移植から幼穂形成期の期間が長くなり、基肥窒素量を60%程度減量しても幼穂形成期における最適窒素保有量の80%相当の窒素が土壌から供給できる。そして目標穂数(370~420本)がほぼ確保でき、慣行並収量520~540kg/10aが得られる(図3)。
- 偏穂数型品種の「ふさおとめ」は中間型品種の「はなの舞い」に比べて、幼穂形成期の単位窒素保有量に対する穂数が多く、収量水準を540kg/10aとした場合、基肥窒素量を「はなの舞い」に比べて50%程度削減できる(図4)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 上述した結果は、温暖地における早期栽培で適用できる。
- 稲わら、稲わら堆肥連用圃場や可給態窒素量16mg/100g以上の土壌で適用できる。
- 基肥窒素の減肥率は砂質土壌では上述の結果よりも低い。
- 穂肥は標準栽培に準じて施用する。
|
図表1 |
 |
図表2 |
 |
図表3 |
 |
図表4 |
 |
カテゴリ |
肥料
施肥
品種
|