水稲湛水直播栽培における鳥害の実態と耕種的鳥害防止対策

タイトル 水稲湛水直播栽培における鳥害の実態と耕種的鳥害防止対策
担当機関 長野県農事試験場
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 水稲湛水直播栽培におけるカモ類の食害に対しては落水処理が有効で、スズメの食害は確実に土中播種することと湛水処理が有効である。
背景・ねらい 水稲湛水直播栽培を実施した場合、鳥害により壊滅的被害を受けることが多く、普及の大きな障害となっている。このため、現場からの鳥害対策への要望は切実である。そこで、現地における鳥害の実態把握を行うとともに、播種法や播種後の水管理が鳥害に及ぼす影響を検討し、耕種的防除法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 1997年に長野県飯山市の水稲湛水直播栽培実施農家全戸(106名、栽培面積計75ha、筆数計約300)に対し、(1)鳥飛来・被害の有無、飛来鳥種、(2)播種方法と播種後の水管理(完全落水・落水不徹底・湛水)についてアンケート調査(回収率約50%)を行ったところ、鳥の飛来は52名中40名が認め、うち36名が食害を認め、食害が甚大で苗立ちが減少し播直しや補植を行った例は1名(そのまま放置し、収量減が疑われるとしたのは4名)であった。
  2. 飛来鳥種の割合はスズメ40%、カラス27%、ハト19%、カモ10%、コサギ1%の順で(複数回答)、陸生と水生の鳥種が混在していた。播種後の条件別では完全落水でカモの飛来が減少した。スズメは落水条件でほぼ確実に飛来し、落水が不十分であると減少した。ハト、カラスは水管理法と関係なく飛来した(図1)。
  3. 団地栽培と単独栽培の間の鳥害頻度の差は、サンプル規模が十分でなく不明であった。
  4. アイガモは湛水条件での採餌を好み、播種直後から24日以内までの被害が甚大であった。播種後1ヶ月経過以降水稲が大きくなった場合はほとんど被害がなかった。一方、落水条件でほとんど被害が認められず(図2)、水田内に留まることも嫌った。
  5. 落水条件でも土中播であればスズメの被害が軽減される(図3)。
  6. 土中播の場合、出芽後の湛水条件でスズメの食害がやや軽減される(図4)。
  7. 以上、耕種的な鳥害対策として、カモに対しては落水の効果が高く、落水出芽を行えば出芽までの期間、食害が回避でき、その後の飛来には一時的な落水が有効である。スズメは確実な土中播とあわせ出芽後の湛水管理が有効である。
成果の活用面・留意点
  1. 本情報はアンケート及び試験場内での調査を基にしており、また、カモ類はアイガモで代用したため、自然生態系での適応についてはさらに詳細な検討が必要である。
  2. 長野県鳥類目録によると現地における生息鳥種の正式名称はカモ=カルガモ、カラス=ハシブトガラス・ハシボソガラス、ハト=ドバト、キジバトである。
図表1 215670-1.gif
図表2 215670-2.gif
図表3 215670-3.gif
図表4 215670-4.gif
カテゴリ 病害虫 直播栽培 水田 水稲 鳥害 播種 防除 水管理

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