紫かんしょ「種子島在来」のウイルスフリー化効果と優良系統の選抜

タイトル 紫かんしょ「種子島在来」のウイルスフリー化効果と優良系統の選抜
担当機関 千葉県原種農場
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 紫かんしょの中で比較的食味の良い「種子島在来」をウイルスフリー化すると、表皮色並びにいもの肥大性が向上する。また、当初得られた14培養系統を2カ年栽培した結果、外観品質の比較的優れる2系統を選抜し、基核株とした。
背景・ねらい 紫かんしょには在来種や育成品種を含めて肉色の濃淡や甘味の多少の違いがある。これまでに“色変わり"かんしょの一つとして、栽培の容易さや食味の点から「種子島在来」を選定した。しかし、ここ数年はウイルス症状と思われる形状不良並びに表皮色の劣化が目立つようになった。
そこで、その改善策として、生長点培養を行い、ウイルスフリー化の効果を確認する。また、当初得られた14のウイルスフリー培養系統(以下、フリー系統とする)を栽培し、その中から優良系統を選抜する。
成果の内容・特徴
  1. 「種子島在来」のフリー系統の収量は、一般株の約1.5~2倍を示し、いもの肥大効果が大きい(表1)。商品性の高いA品の比率に両者の差は小さいが、表皮色が薄く、細長い一般株のいもに対して、ウイルスフリー化によりこれらが明らかに改善される。
  2. 平成9年度の栽培試験において、株の揃い、いもの外観を中心に14系統のフリー系統の優劣を判定し、5系統(No.1、2、3、8、10)を有望系統とした(表1)。
  3. 平成10年度は上記5系統を用いて植付け日を3時期として栽培した。当年は日照不足の天候が続き収量性が低く、植付け時期によっては“裂開"が多発した。供試系統の中で明らかに優れる系統は見いだせなかったが、No.3が安定して評価が高く、No.1がこれに次いだ(表2)。2カ年の結果を併せて、この2系統を優良系統(基核株)とする。
成果の活用面・留意点 紫かんしょは、農家直売、観光いも掘り、和菓子原料などに使われている。JA小見川町では“いもアイス"原料と市場出荷用に使われている。上記の優良系統の利用により、従来のものに比べて収量及び品質の向上が期待でき、有利販売に結びつくことが考えられる。
なお、本系統を含めた「種子島在来」は、いもの肥大初期に15℃程度の低温条件で起こる“裂開"が発生しやすい。現状では効果的な防止策がないため、実際栽培では植付け時期をずらして危険分散を図る必要がある。
図表1 215682-1.gif
図表2 215682-2.gif
カテゴリ かんしょ 出荷調整 品種 良食味

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