タイトル |
泌乳初期におけるTMRでの製造副産物の利用方法 |
担当機関 |
群馬県畜産試験場 |
研究期間 |
1996~1996 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
飼料原物中25%給与したところ、製造副産物を給与しなかった区に比較して乳量減少が認められたが、乳脂率が有意に高くなったため、FCMでは差が見られなかった。
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背景・ねらい |
乳生産性を向上させる方策として、穀類の多給による高エネルギー飼料の調製が追求されているが、製造副産物飼料も高泌乳牛の飼養には有用と推察される。しかしながら、製造副産物中の高消化性繊維や高粗脂肪含量を活用した飼料利用については不明な点が多い。そこで今回、比較的広く利用されているビール粕、トウフ粕および米ヌカの穀類代替給与が、泌乳初期の乳量、乳成分に及ぼすの影響を調査して、効果的な給与法を検討した。粗飼料としてチモシー、アルファルファ乾草を主体に、綿実、ビートパルプ、フスマ等を加えて、飼料原物中トウモロコシを30%給与する区(LB)、トウモロコシ、大豆粕に代替して製造副産物(トウフ粕、ビール粕および米ヌカ)を原物で12.5%給与する区(MB)および25%給与する区(HB)の3試験区を設定した(表1)。乳牛68頭を3区に分けて混合した試験飼料を自由採食させ、分娩後15週間の飼養試験を実施した。
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成果の内容・特徴 |
- 製造副産物給与区では、LB区に比べDE含量は変わらないが、澱粉および非構造性炭水化物含量が減少し、代わりに脂肪含量が増加した(表1)。
- 製造副産物を給与しても、乾物摂取量およびDE摂取量には差が見られなかった(表2)。
- 製造副産物を多給した場合(HB区)には、乳量が有意に減少した(表2)。
- 製造副産物給与により乳蛋白率および乳糖率では差が見られなかったが、HB区で乳脂率が有意に増加したため、FCMでは差が見られなかった。
- 血液性状は、製造副産物割合が高いほどコレステロール、リン脂質およびトリグリセライドが上昇し、粗脂肪摂取量増加に伴って血中脂質成分に影響が認められた。(表2)
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成果の活用面・留意点 |
- 製造副産物の給与により、乳脂率は向上するものの、乳量が減少する危険性が示された。
- この乳量減少は、澱粉等のルーメン内微生物に利用可能なエネルギー源の不足によるものと考えられる。そこで特に脂肪含量が高い製造副産物を給与する場合には、同時に非構造性炭水化物を増やすか、非分解性蛋白質を増やすなどして、代謝蛋白質が不足しないよう考慮する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
アルファルファ
大豆粕
とうもろこし
乳牛
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