タイトル |
中温域(15〜18℃)における豚希釈保存液の適正な精子希釈濃度 |
担当機関 |
千葉県畜産センター養豚試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
現在、養豚場等で行われている豚人工授精の精液保存について、成分の異なる中温域希釈保存液を用いて、適正な精子希釈濃度を求めた。また、その精子希釈濃度における受胎成績についても良好な結果が得られた。
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背景・ねらい |
優良雄豚精液の広域的有効利用をはかるためには、実用化に耐えうる液状保存用希釈液の開発と利用が必要である。現在、豚精液の長期保存が可能ないくつかの中温域希釈保存液が農家段階で利用されているが保存される精子濃度は様々である。そこで、保存中の精子生存性の向上を目的として、既存の希釈保存液の適正化を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- 供試豚は、当場飼養のL種11頭、W種4頭、D種4、計19頭とした。
- 2種類の希釈保存液「モデナ溶液・アンドロヘプ溶液」(表1)は、現在農家段階で利用され成分公開されている中温域希釈保存液であり、その希釈保存液に対して、精子濃度を4段階に調整(a区:6.8~8.0b区:2.4~3.0c区:1.2~1.5d区:0.4~0.6億/ml)して精子活力の経時的変化を調査した。
- 精液の保存性を比較したところ、精子濃度の違いによって7日目の精子活力は差が見られ、特にc区の精子活力は、両希釈保存液とも最も高かった。(図1.図2)
- 各c区における保存精液について、当場飼養の雌豚に人工授精(2回種付け:一回注入量の100ml)を実施し受胎成績を調査した。調査頭数は、L種雄9頭に対してモデナ溶液では雌豚152頭・アンドロヘプ溶液では27頭、W種雄2頭に対してモデナ溶液では雌豚48頭・アンドロヘプ溶液では4頭、D種雄4頭に対してモデナ溶液では雌豚41頭・アンドロヘプ溶液では17頭であった。また、受胎の判定はその後の発情が回帰しないものを受胎したものとし、分娩時に再確認した。その結果、受胎率の平均値及び標準誤差は、L種モデナ溶液78.9±16.1・アンドロヘプ溶液94.4±10.3、W種モデナ溶液77.8±2.8・アンドロヘプ溶液100.0±0.0、D種モデナ溶液94.0±8.2・アンドロヘプ溶液96.3±6.4となり、アンドロヘプ溶液の受胎率はすべて90%以上の良好な成績を示した。また、L種においては希釈保存液の違いによる受胎率は有意に差(P&st;0.05)が認められた。
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成果の活用面・留意点 |
今後、受胎成績では産子数まで求め、効率的な希釈保存液の開発が必要である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
豚
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