タイトル |
日本なしのマンガン欠乏の発生実態と改善対策 |
担当機関 |
埼玉県園芸試験場 |
研究期間 |
1997~1997 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
日本なしのマンガン欠乏は陽イオン交換容量の低い土壌条件で発生が多い。改善対策として、葉が展開した6月に10~14日間隔で2回の0.2%硫酸マンガン溶液の葉面散布及び11月下旬以降の冬期間にマンガン資材(可溶性、く溶性マンガン41%)10a当たり10~20kgの土壌施用が有効である。
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背景・ねらい |
なし園では石灰資材の連用によって土壌pHが上昇し、葉が淡く、葉脈間が黄白化するマンガン欠乏症が発生し、なしの果実肥大に影響を及ぼすことから、マンガン欠乏の土壌的な発生要因ならびに改善対策を明らかにしようとする。
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成果の内容・特徴 |
- マンガン欠乏発生園と無発生園の交換性石灰はほぼ同含量であったが、発生園の陽イオン交換容量は無発生園に比べて低く、発生園は石灰飽和度が高くなり、土壌pHの上昇に結びついた(表1)。
- 土壌pHが高くなると交換性マンガン含量が低くなるので、マンガン欠乏を回避するには石灰資材の施用を控え、土壌pHを6.5以下にする必要がある(図1)。
- 葉中の全マンガン含量が6月に20ppm以下となるとマンガン欠乏に陥る可能性が高く、対策として生育期間中の6月に10~14日間隔で0.2%硫酸マンガン溶液200~300L/10aを2回葉面散布することにより、7月以降マンガン欠乏を改善することができる(表2)。4.pHが6.5以上のマンガン欠乏発生園に、マンガン資材(可溶性、く溶性マンガン41%)を落葉後になし「新興」では20kg/10a、「幸水」では10kg/10a土壌施用することにより、次年度にはマンガン欠乏が軽微となる。マンガン資材10~20kg/10aの土壌施用は冬期間の改善対策として有効である(表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 葉面散布時に硫酸マンガン溶液に消石灰を混用すると溶液中に褐色の沈殿が生じ果実、葉が汚れるため、消石灰の混用は避けたほうがよい。
- 硫酸マンガンの散布濃度は0.2~0.3%とする。
- マンガン欠乏は「新興」で発生しやすく指標となりやすい。
- 石灰の過剰施用は避ける。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
肥料
日本なし
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