タイトル |
養液栽培による高糖度トマト生産用簡易給液制御装置 |
担当機関 |
静岡県農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
高糖度トマト生産用の遮根培地ユニット式養液栽培装置に適した不織布電極センサ式給液制御装置を開発した。本装置の利用により作物の吸水量に応じた自動給液管理が可能である。
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背景・ねらい |
静岡農試が開発した遮根培地ユニット式養液栽培装置による高糖度トマトの2段どり密植生産では、作物吸水量に応じたきめ細かい給液管理が要求される。しかし、現状の積算日射量を指標とした給液制御法では、気象変動や生育ステージ等によって時々刻々変化する作物吸水量に応じた給液管理は困難である。そこで、高糖度トマト生産における給液管理の安定化と自動化を目指して、毛管現象を利用し作物吸水量に応じた給液管理が可能な簡易給液制御装置を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 不織布電極センサは、アクリルL形ユニット、親水性不織布(幅20mm、厚さ2mm)、給液受け、1対の電極を所定間隔で固定した電極ユニットから構成され、センサを栽培ベッドの側面から培地の底面へ差し込んで用いる(図1、図2)。
- 培地水分が多い場合には毛管現象によって不織布が水を吸い上げ、電極間の通電抵抗は低下するが、培地水分が減少すると不織布が乾燥して抵抗は上昇する。この電極間通電抵抗の上昇をフロートレススイッチで感知し、給液ポンプを所定時間だけ稼働させる(図2)。この動作を設定した給液時間帯を通して繰り返し行うことができる。
- 培地内水分の制御は、電極ユニットの高さ(図3)、電極間に取り付けた可変抵抗によって調節することができる。
- 本給液制御装置を遮根培地ユニット式養液栽培装置へ設置することによって、生育ステージや天候など作物吸水量に対応した自動給液管理が可能となり(図4)、Brix9%以上の高糖度トマトを安定して生産することができる(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- センサ不織布のEC濃度及び水分を一定にするためにセンサへの給液も併せて行う。
- 本給液制御装置1基を栽培ベッド中央部に設置することにより、10a程度の栽培面積における給液制御が可能である。
- センサ及び制御装置の材料費は約3万円である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
乾燥
トマト
養液栽培
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