タイトル |
接ぎ木キュウリに発生する奇形葉の発生条件と対策 |
担当機関 |
長野県南信農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
キュウリのセル成型接ぎ木苗を定植後、主枝の3~13節ぐらいに発生する奇形葉は、接ぎ木時の穂木の断根で発生し、台木も断根することによりその頻度は高まる。この症状の発生防止には、接ぎ木直後にホウ素を噴霧すると効果がある。
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背景・ねらい |
キュウリの接ぎ木方法は、従来呼び接ぎが一般的であったが、近年セル成型苗に対応した接ぎ木方法として、挿し接ぎの他に片葉切断接ぎや全農式幼苗接ぎが普及してきた。しかしこれらの接ぎ木法で、特に台木を断根した場合、鉢上げ後や定植後に3~13節ぐらいの葉がしばしば奇形となる症状が発生し、同時に節間が詰まって生育が滞ったり、心止まりが発生して問題になっている。そのため、これらの症状の発生条件を明らかにし、その対策を確立する。
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成果の内容・特徴 |
- 奇形葉は接ぎ木をしなくても穂木を断根して挿し、再発根させた場合にも発生する(表1)。
- 奇形葉は穂木を断根する接ぎ木法(片葉切断接ぎ、挿し接ぎ、全農式幼苗接ぎ)で発生し、台木を断根することによって発生頻度が高まる。なかでも、断根片葉切断接ぎで発生が多い(表2)。
- 台木はブルームレス台木の他に、クロダネやシロダネの「新土佐1号」を利用しても同様に奇形葉が発生する(データ省略)。
- 接ぎ木直後に植物体全体が十分湿る程度(1株当たり約1ml)に、ホウ砂 0.2%液、あるいはホウ砂 0.2%液と塩化カルシウム 0.5%液を噴霧することで成苗率がやや高くなり、奇形葉の発生もほとんどなくなり、心止まり株の発生もみられない。このとき、ホウ砂 0.2%の噴霧では本葉1~2枚の葉縁にクロロシスを生じることがあるが、塩化カルシウム 0.5%液を同時に噴霧することで症状が軽減される(表3,表4)。
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成果の活用面・留意点 |
- この技術は、奇形葉の発生しやすい片葉切断接ぎ、挿し接ぎ、全農式幼苗接ぎで利用できる。
- 根本的には奇形葉の発生しない培地、苗管理法を開発する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
きゅうり
栽培技術
台木
接ぎ木
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