タイトル |
巻きひげの無いアールスメロン新品種「千葉TL」とその遺伝特性 |
担当機関 |
千葉県暖地園芸試験場 |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
アールス原種系の自然突然変異株から、アールスメロン新品種「千葉TL」を育成した。この新品種は巻きひげが全く発生しない代わりに、主づる、子づる、孫づるなどの各節に雌花の着生する2本の側枝が発生し、茎が太く、葉が大きく、根量が多く、樹勢が極めて強い生育特性を示す。この巻きひげ無しの形質の発現は、巻きひげ有りの形質に対して、劣性の1主動遺伝子による。
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背景・ねらい |
アールス・フェボリットの原種系の種子の更新中に、自然突然変異によると思われる巻きひげの無い株が発見された。これは今後、整枝作業等の省力品種の育種素材として有用と考えられたので、巻きひげ無しの形質についての遺伝解析を行い、特性を調査した。
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成果の内容・特徴 |
- 育成過程
アールス・フェボリットの原種系の種子の更新中に、主づるに巻きひげが無発生の株が発見され、その自殖後代を1995年冬作、1996年夏作および冬作で栽培し、生態的特性、遺伝特性を調査し、固定とみなして、巻きひげ無しのアールスメロン「千葉TL」と命名した。1998年1月に品種登録の出願を行った。
- 育成品種の特性
1)アールス系メロンの自然突然変異系統で巻きひげは全く発生しない。冬系1号に比べて茎が太く、葉が大きく、地上部重、地下部重とも重く、草勢が極めて強い。 果重、果形は冬系1号と同程度であるが外観(ネット形成)が劣る(表1)。 2)巻きひげは冬作と夏作で検討したが、いずれの作も全く発生せず、巻きひげの代わりに側枝が発生する。従って、主づる、子づる、孫づるなどの各節に2本の側枝が発生し、その両方に雌花(両性花)が着生する。しかし、摘枝作業は側枝の方が巻きひげに比べて容易である(写真1)。
- 巻きひげ無しの形質の遺伝特性
F1の表現型はすべて巻きひげ有りで、F2は巻きひげ有りと巻きひげ無しの割合がほぼ3:1となり、巻きひげ無しの形質は有りの形質に対して単因子劣性と考えられた。巻きひげ無しの自殖後代(F3)は全株が巻きひげ無しで、この形質が劣性ホモタイプであることが確認され、安定した遺伝特性を示した(表2、表3)。
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成果の活用面・留意点 |
- 「千葉TL」は、巻きひげが無いので整枝作業等が省力化できる品種育成の有効な育種素材と考えられる。
- 各節に2本の側枝が発生して、その両方に雌花(両性花)が着生するので、同節2果どり栽培が可能と思われる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
育種
省力化
新品種
品種
メロン
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