タイトル |
観光摘み取り用イチゴ新品種候補「栃木13号」 |
担当機関 |
栃木農業試験場 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
イチゴ新品種「栃木13号」は、草勢が強く、連続出蕾性の高い促成栽培用品種である。果実は「とちおとめ」より大果で、酸味が少なく、果肉は粘質・多汁で食味が優れるが、果皮が軟らかいので観光摘み取り用に適している。
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背景・ねらい |
近年、イチゴに対する消費者ニーズの多様化に伴い、イチゴ狩りや直売向けの栽培が増加し、地域特性を活かした特徴ある産地が形成されている。そこで、大果で食味が良く、特に連続して収穫できる観光用の品種を育成する。
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成果の内容・特徴 |
- 育成経過
1990年に大果で食味の良い「栃の峰」と多収性の「久留米49号」を交配し、その実生個体194株の中から1991年に90-13-3を選抜した。1992年の特性検定試験の結果、食味が良く、特に大果で収量性の高いことが認められたので、1993年に系統名を「栃木13号」とした。1996年及び1997年には観光摘み取り用としての適応性が確認できた。そこで、1998年に品種として登録を出願した(図1)。
- 特 性
1)草姿は中間、葉は厚く濃緑色で大きくやや丸みを帯びる。 2)葉柄長は「女峰」と同程度で、草勢が強くランナーの発生も旺盛である。平地育苗での花芽分化期は9月25日頃で、「女峰」及び「とちおとめ」と同程度に早い。頂花房の着花数は11~12花と少ない(表1)。 3)花房の発生が良く、連続的に収穫できる。収量性は安定して高く、促成栽培での4月までの収量は株当たり平均600g以上である(表1)。 4)果形は円錐形、果色は濃赤色で「女峰」及び「とちおとめ」より濃い。果実の大きさは平均17g程度で「とちおとめ」よりさらに大きい。果肉の硬度は「女峰」と同程度であるが、果皮は同程度かやや軟らかい。糖度は「女峰」並であるが、酸度は「とちおとめ」より低く、糖酸比が高い。また、粘質・多汁で食味が良い(表2)。 5)特定の病害に対する抵抗性はない。 6)適応作型は促成栽培である。
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成果の活用面・留意点 |
- 果皮が軟らかく輸送性が低いため、観光摘み取りや直売に適する。
- 炭そ病等に対する耐病性は「女峰」及び「とちおとめ」と同程度であるので、同様の防除が必要である。
- 肥培管理は女峰に準じて行う。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
病害虫
育苗
いちご
新品種
多収性
抵抗性
肥培管理
品種
防除
輸送
良食味
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