雨どいを利用したイチゴの循環式ロックウール高設栽培装置

タイトル 雨どいを利用したイチゴの循環式ロックウール高設栽培装置
担当機関 神奈川県農業総合研究所
研究期間 1997~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 イチゴの高設ロックウール栽培装置を開発した。この装置は、収穫作業性を重視した高設ベンチ方式であり、栽培槽は角型雨どいを使い、培地はロックウール細粒綿で、培養液は循環式である。
背景・ねらい イチゴの作業は常に低い位置で行われ、腰への負担が大きいので、この作業姿勢の改善が強く望まれている。高設栽培は腰かがみ姿勢を抜本的に改善する有効な手段であり、栽培方式は養液栽培とするのが適切である。雨どいは建材用のため、堅牢で耐候性があり、関連部材が豊富であることから、養液栽培装置に適した資材である。そこで、雨どいと鉄パイプなどを組み合わせた装置の開発を行い、これに合わせた栽培方法を確立する。
成果の内容・特徴
  1. 栽培槽は角型雨どい(幅25cm、厚さ14cm、長さ4m)を連結して使い、栽培槽の内部に排水路用に丸型雨どい(幅10cm)を伏せて置き、これらを鉄パイプ(22mm径)で組み立てたベンチ上に乗せたものである(図1)。
  2. 栽培槽の高さは、収穫の姿勢改善を前提としたときに、身体への負担から評価し、作業面が肘の高さとなるように作業者の肘の高さに果梗の下垂する長さ(約20cm)を加えた高さが最適である(図2)。このとき、排水性のために栽培槽に1/200の傾斜をつけるので、栽培槽の中央部の位置を基準にする。
  3. 培地は、ロックウール細粒綿を用い、培地量は、栽培槽1m当たり原体で3kg程度である。
  4. 培養液は、園試均衡培養液の1/2濃度を用い、培養液タンク内が半分程度に減少したときに、本液を追加するなどして、EC値を1.0~1.5dS/mに管理する。このとき、pH7以上にならないように、硫酸などで調整する。
  5. 給液方法は、培地面に配置したかん水チューブにより、1日1株当たり100~400ml(1回100mlとして1~4回/日)とし、雨天日は給液を停止する。
  6. 収量は、品種「さちのか」の促成作型で1a当たり780株(2条植え、株間20cm、通路幅100cm)の場合、約360kg(12月中旬~4月下旬)となり、土耕栽培とほぼ同程度である。
  7. 栽培装置は栽培槽、給液系統、高設ベンチから構成され、この資材費は、10a当たり約280万円である(表1)。
成果の活用面・留意点
  1. 装置の資材は、園芸資材店と建材店から入手が可能で、装置の組立が簡単である。
  2. ベンチの高さは、作業者が複数になる場合には、作業面が肘の高さより高いと負担があるので、背の低い人に合わせた方がよい。
  3. 単位面積当たりの収量増加のためには、通路を90cm程度に狭めて、栽植本数を増やす。
図表1 215779-1.gif
図表2 215779-2.gif
図表3 215779-3.gif
カテゴリ いちご 排水性 品種 養液栽培

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