タイトル |
アグロバクテリウム法によるキク品種`秀芳の力'への遺伝子導入 |
担当機関 |
静岡県農業試験場 |
研究期間 |
1998~2002 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
キク品種`秀芳の力'の茎片を用い、アグロバクテリウム法による効率的な遺伝子導入の条件を確立し、トマト黄化えそウイルス(TSWV)由来のヌクレオキャプシド遺伝子の導入に成功した。
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背景・ねらい |
本県キク産地では、トマト黄化えそウイルス(TSWV)によるキクえそ病が蔓延しているが、本病には有効な防除法が確立されていない。また、キクへの遺伝子導入は比較的困難である。そこで、本県の主力品種である`秀芳の力'にTSWV抵抗性を付与するため、アグロバクテリウム法によるウイルスのヌクレオキャプシド(N)遺伝子の効率的な導入条件を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- アグロバクテリウム菌株は、EHA101、LBA4404及びOPC2760が初期感染に優れている(表1)。この中ではEHA101が、導入した遺伝子産物(GFP)の発現強度が最も強く、遺伝子導入効率が高い。
- 遺伝子導入の効率と除菌が容易さから、アグロバクテリウムを、50-100μMのアセトシリンゴン含有MS培地で、菌濃度(OD600)0.01前後に調整するのがよい(表2)。接種後、3日間、22℃暗黒下で茎片を共存培養させる。
- 共存培養後は、アグロバクテリウムをクラフォランで除菌した後、遺伝子導入細胞のみから不定芽原基を誘導するのには、ハイグロマイシン50mg/lの添加が適当である(表3)。
- 不定芽原基は、抗生物質を含まない培地に移植し、再分化させる。
- この方法によりTSWVのN遺伝子導入個体が得られる(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 用いた材料は茎片であるが、遺伝子導入条件が他の組織に全て適用できるとは限らない。また、茎片でも部位により遺伝子導入効率が異なるので、注意が必要である。
- 今後は、遺伝子導入個体のTSWV抵抗性検定と導入遺伝子の発現状況を調査する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
きく
抵抗性
抵抗性検定
品種
防除
りんご
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