アルストロメリアの複二倍体の作出とそれを利用した三倍体の作出法

タイトル アルストロメリアの複二倍体の作出とそれを利用した三倍体の作出法
担当機関 埼玉県園芸試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 胚珠へのコルヒチン処理により、アルストロメリアAlstroemeria ligtu hybrid(LH)とA. pelegrina var. rosea(PR)の複二倍体を育成し、両親種、A. aurea, A. paupercula, A. psittacinaとの全ての交雑組み合わせから三倍体を獲得した。
背景・ねらい 胚珠培養により育成した、Alstroemeria ligtu hybrid(LH,2n=16)とA. pelegrina var. rosea(PR,2n=16)の雑種個体(2n=16)は稔性がない。本報では、胚珠へのコルヒチン処理により複二倍体を育成して稔性回復を図り、両親種、A. aurea(2n=16), A. paupercula(2n=16), A. psittacina(2n=16)との交雑組み合わせから三倍体品種の作出について検討する。
成果の内容・特徴
  1. LHにPRを交配後14日に子房を採取し、70%のアルコールに60秒、2%の次亜塩素酸ナトリウムに20分浸漬し滅菌水で3回すすいだ後、胎座を3つに分割し胚珠をつけたまま50rpmの振とう培養器で500ppmのコルヒチン水溶液に浸漬処理をした。処理後0,2,4,8日に滅菌水で3回すすいだ後、しょ糖3%、ジェランガム2gを加えpH5.7に調整したMS培地に植え付け、15℃、3,000lux、16時間/日照明下で培養した。コルヒチン処理期間の増加に伴い、発芽個体数、幼植物体形成数が減少し、0日処理の4個体、2日処理の2個体、4日処理の3個体、8日処理の1個体の成熟個体が獲得できた(表1)。これら成熟個体の根端細胞をアセトカーミン押しつぶし法により観察した結果、4日処理の2個体から雑種個体の2倍に当たる2n=32の染色体が認められ、複二倍体であることが確認できた。
  2. アセトカーミン染色による花粉稔性と自家受粉後の種子形成の有無を調査した結果、複二倍体2個体は57.6,73.4%の花粉稔性を示したが交配後種子は得られなかった(表2)。
  3. 複二倍体を両親種と正逆交雑、A. aurea, A. paupercula, A. psittacina を種子親とし交雑した結果、LHに複二倍体を交雑した場合のみ種子が形成され、成熟個体が得られた(表3)。さらに、複二倍体を自家受粉した子房、種子の形成が認められなかった組み合わせの子房を交配後14日に採取し胚珠培養を行った結果、いずれも成熟個体が獲得できた。成熟個体の根端細胞を採取し染色体数を観察した結果、いずれも2n=24の染色体が確認され三倍体であることが認められた。
  4. 以上の結果、複二倍体は両親種、A. aurea, A. paupercula, A. psittacinaとの組み合わせで三倍体が獲得できたことから、育種素材としての利用が可能と考えられる。
成果の活用面・留意点 優良形質を持つ三倍体について、品種登録申請を予定している。
図表1 215805-1.gif
図表2 215805-2.gif
図表3 215805-3.gif
カテゴリ アルストロメリア 育種 受粉 品種

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