タイトル |
接ぎ木によるヒマラヤシーダ園芸品種の増殖 |
担当機関 |
千葉県原種農場 |
研究期間 |
1996~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
コニファ一類の一種のヒマラヤシーダは挿し木が困難なため、園芸品種を繁殖するための接ぎ木法を確立した。接ぎ木時期は12月下旬~2月下旬、接ぎ木方法は腹接ぎ法が安定して高い活着率を得られる。また、接ぎ穂は1年枝、2年枝のいずれも使用可能である。
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背景・ねらい |
コニファ一類の中でマツ科のヒマラヤシーダは挿し木の発根率が低く、一般に実生繁殖しているが、園芸品種の場合は接ぎ木で増殖しなくてはならない。しかし、接ぎ木技術が確立していないため、増殖効率が劣り、緑化樹として園芸品種を利用するまでには至っていない。そこで、接ぎ木時期や接ぎ木方法などを検討し、増殖法を明らかにしようとする。
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成果の内容・特徴 |
- 接ぎ木時期は、12月下旬~2月下旬が適当で、安定して80%以上の活着率が得られる(図1)。
- 接ぎ木方法に因らず、台木に枝葉が着いている時は良く活着する。即ち、台木に枝葉が1/3程度着いている腹接ぎ法は、接ぎ木する位置に係わらず全て100%活着する。また、切り接ぎ法による場合は、台木を株元から5cmの範囲で切ると全く枝葉を残すことができず、腹接ぎ法と比べ活着率が劣る。しかし、切り接ぎ法でも台木に枝葉を着けると活着率は高くなる(表1)。
- 接ぎ木用の穂木は、充実した1年枝、あるいは2年枝のいずれでも活着率に差がなく利用できる(表2)。
- 接ぎ木活着後、腹接ぎ法では穂木の生育を促すため、台木が伸長しすぎないように随時剪定する。
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成果の活用面・留意点 |
- 台木はヒマラヤシーダの実生2年生以上を用い、穂木は接ぎ木当日採取する。
- 接ぎ木苗は畑に植えつけ、活着するまでポリフィルムでトンネル状に密閉し、湿度を保持する。
- トンネル内が高温とならないように、約70%程度の遮光をする。
- 接ぎ穂から新芽が伸びだしたらフィルムに穴を開け、馴化を開始する。
- この増殖法は近縁種のアトラスシーダ等にも利用できる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
挿し木
台木
接ぎ木
繁殖性改善
品種
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