タイトル |
病害虫発生と乗用管理機による防除経費から見た経済的な要防除判定 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
地域防除を前提に乗用管理機を利用した防除経費より作業料金を策定、また紋枯病・イネツトムシの発生程度から減収率(減収額)を予測し、その比較により経済的に見た防除要否の判定が早期に行え、効果的な防除が可能である。
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背景・ねらい |
病害虫発生の被害予測は難しく、予防的・計画的な防除により行われ、農薬投入量や作業量の増加が問題となっている。また、現在の地域防除はヘリによる空散で行われ、農薬飛散など環境面への影響も大きい。そこで、高度発生予察技術を用い病害虫の発生及び減収量予測と、乗用管理機での防除経費を例に経済性から見た要防除判定を行う。更に、空散に変わる新たな地域防除にこれらを利用し、経済的に不要な防除の削減と環境保全型農業を目指す。
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成果の内容・特徴 |
- 防除実施の判断は、病害防除所等の指導のもと農家(地域防除組織)が行う。防除作業は、農家との受委託契約に伴い地域防除組織により乗用管理機を用いて実施する。
- 乗用管理機の病害虫防除に関わる経費は、機械の年間固定費978千円、ha当たり変動費は7.7千円である(表1)。
- ha当たり防除経費は、作業の年間計画面積を50haとすると約27千円である(図1)。
- 病害虫防除の経済性から見た要否判定は、防除経費(以下、作業料金)より、防除により得られる収益(以下、防除効果)が大きくなることとする。
- 経済性から見た防除要否判定:作業料金&st;防除効果
- 防除効果(円/ha)=回復粗収益-収穫以降経費
:回復粗収益(円/ha)=米価(円/kg)×収量(kg/ha)×減収率/100×回復率1) :収穫以降経費(円/ha)=30(円/kg)2)×収量(kg/ha)×減収率/100×回復率1) 注1)回復率:防除による収量の回復は減収量の80%とする。 2)収穫以降経費:回復した収量に乾燥等収穫以降の経費を30円/kg計上する。
- 防除要否の判定を減収率と作業料金により表すと、年間の計画利用面積50haの場合、ha当作業料金は27千円となり、単収8俵・単価1俵16千円水準では減収率約3%以下の場合、経済的に見て防除は不要とされる(図2)。
- 効果的な防除を行うために防除要否の判定を早期に行う。今回、紋枯病とイネツトムシを対象に、発生程度より減収率を推定し、病害虫の発生時点で防除要否の判定を行う。
- 病害虫の発生程度と減収率の関係は、減収率を3%とした場合、紋枯病では穂ばらみ期の発病株率が約5%、イネツトムシでは、出穂約2週間前の若齢期幼虫数が百株当たり約15頭である(図3)。
- ha当作業料金を27千円とした場合、紋枯病の発生程度5%以上の時、イネツトムシでは15頭以上の場合、要防除と判定できる(図4)。
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成果の活用面・留意点 |
- 病害虫の発生量と減収程度は、地域や気象、栽培条件等により変動するので利用現場に即した値を用いる。
- 防除費用は、乗用管理機の利用を前提に算出したものであり、利用場面に合わせた作業体系での試算により使用する。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
病害虫
害虫
乾燥
栽培条件
農薬
病害虫防除
防除
予察技術
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