リンゴのショートサイクル栽培技術導入による早期成園化効果

タイトル リンゴのショートサイクル栽培技術導入による早期成園化効果
担当機関 長野県農業総合試験場
研究期間 1998~1998
研究担当者
発行年度 1998
要約 M9ナガノを台木とした2年生苗木を用いる「ショートサイクル栽培技術」は、従来の方法より園地育成期間を一年間短縮でき、園地育成価を低減できる技術である。
背景・ねらい 本県では中間台方式のふじの普及率が高いが、現在樹勢が強く4m以上の高樹高となっており、作業能率の低下が問題となっている。加えて、過繁茂により受光率が悪化し、樹齢の進行と相まって品質・収量の低下を招いている。しかし園地を改植するとその後2~3年間は結実がないため、園地更新をためらう農家が多い。
このような状況の改善案として、早期多収をねらいとし、樹齢15年程度を1サイクルとする「ショートサイクル栽培技術」が検討されている。この新技術と慣行技術をそれぞれ導入した経営モデルを組み、それぞれの園地育成価と早期多収性の部分について検討した。
成果の内容・特徴
  1. 経営モデルの設定条件
    • リンゴ栽培面積は3ha、家族労力は2人とする。リンゴ植裁密度は4×2m(125本植/10a)、トレリス、チューブ灌水施設、防霜ファンを設置、スピードスプレヤー、トラクタは個人所有とする。
    • 品種は「ふじ」とし、価格はkg当たり258円とした。
    • 新技術区で使用するM9自根2年生大苗はまだ市販されていないが、育成期間が通常の1年生苗木の2倍であることから、価格は通常の倍(2,600円/本)と仮定した。
  2. 慣行区では定植年と定植翌年には結実がなく、定植後3年で初結実する。単年度収支が相償う年は定植後5年目で育成期間は4年間、10aあたり育成価累計額は約1,348千円である。一方新技術区は定植翌年から結実が始まり、定植後4年目で単年度収支が均衡する。育成価累計額は約1,246千円/10aとなる。このように新技術の導入により1年間育成期間を短縮でき、園地育成価も低減できる(表1、図1)。
  3. 育成期間中の労働時間は、定植後3年目までは新技術区の方が多いが、慣行区は成園化までに定植後4年間を要する。そのため育成期間中の10aあたり労働時間総計では新技術区317.8時間に対し慣行区389.0時間で、新技術区の方が約20%少ない(表2、図2)。
  4. 慣行区では、目標収量(4t/10a)に達するのが定植後6年目であるのに対し、新技術区では定植後5年目であり、早期多収性が認められた。定植後5年目までの10aあたり所得累計額は、新技術区13.9万円に対し慣行区5.1万円で、定植後早い時期から慣行区以上の所得が確保できる(表1)。
成果の活用面・留意点 リンゴ栽培における新技術(ショートサイクル栽培技術)導入の判断材料となる。
成園化後の品質・収量および収益性については今後データ収集が必要。
図表1 215859-1.gif
図表2 215859-2.gif
図表3 215859-3.gif
図表4 215859-4.gif
カテゴリ 改植 経営モデル 栽培技術 早期成園化 台木 多収性 品種 りんご

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