タイトル |
根域制限栽培と太陽熱土壌消毒を組み合わせた施設トマトの土壌病害虫防除 |
担当機関 |
千葉県農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
|
発行年度 |
1998 |
要約 |
防根透水シートを用い根域制限した施設半促成トマト栽培において,太陽熱土壌消毒を行うと,太陽熱土壌消毒中の地温は地床栽培より高くなり,ネコブセンチュウ及び褐色根腐病の防除効果が高く,地床栽培と同等以上の上物収量が得られる。
|
背景・ねらい |
現在トマト栽培における土壌病害虫対策は土壌くん蒸剤の使用が一般的である。しかし,土壌くん蒸剤の使用は環境保全の点から制限される方向にあり,環境負荷の少ない天敵利用や耕種的防除法の確立が求められている。そこで,農薬を使用しない防除方法として,根域制限栽培と太陽熱土壌消毒の組み合わせによる施設トマトのネコブセンチュウ及び褐色根腐病の防除法と実用性を検討した。
|
成果の内容・特徴 |
- 根域制限栽培施設は土壌を幅60cm,深さ20cm,ベッド高10cmに木枠で仕切り,側面と底面にポリエステル製の防根透水シートを敷き,土壌を埋め戻し設置した。この施設において,夏季高温時,地表を透明ビニールで全面被覆後湛水し,施設開口部を密閉する太陽熱土壌消毒を行い,その後,半促成トマトを栽培した。この試験を3年3作繰り返し,サツマイモネコブセンチュウと褐色根腐病の防除効果を検討した。
- 太陽熱土壌消毒中,根域制限栽培の地温は地床栽培における地温より高く推移し,サツマイモネコブセンチュウ及び褐色根腐病防除に効果が期待できる高地温が得られた(表1)。また,太陽熱土壌消毒によって得られる根域制限栽培区の地温は地床栽培区より年次変動が小さかった(データ略)。
- 根域制限栽培と太陽熱土壌消毒の組み合わせは,サツマイモネコブセンチュウ及び褐色根腐病の発生を抑制し,その効果は地床栽培における太陽熱土壌消毒に優った(図1,図2)。
- 太陽熱土壌消毒を行った根域制限栽培のトマト総収量は試験年次により地床栽培の総収量とほぼ同等かやや劣ったが,上物率は高く,上物収量は試験年次によりほぼ同等か優った。また,根域制限栽培のトマト果実は地床栽培より糖度が高く,品質が高かった(表2)。
|
成果の活用面・留意点 |
- 本技術はトマト萎凋病及び根腐萎凋病に対して効果が劣るので,本病害の発生が懸念される場合は抵抗性台木を利用する。
- 根域制限栽培によって地上部の徒長が抑制され,灰色かび病の発生が抑制される。
|
図表1 |
|
図表2 |
|
図表3 |
|
図表4 |
|
カテゴリ |
病害虫
台木
抵抗性
天敵利用
土壌くん蒸
土壌消毒
トマト
根腐病
農薬
病害虫防除
防除
|