タイトル |
捕食性天敵ナミヒメハナカメムシによるキュウリのミカンキイロアザミウマの防除 |
担当機関 |
神奈川県農業総合研究所 |
研究期間 |
1997~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
3月中旬定植の施設栽培キュウリにおいて、捕食性天敵ナミヒメハナカメムシの成虫を定植直後と1週間後に2回放飼すると、ミカンキイロアザミウマの寄生虫数は天敵放飼7日後から急激に減少し、その効果は約1ヶ月間持続する。
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背景・ねらい |
現在キュウリ栽培におけるミカンキイロアザミウマ、ミナミキイロアザミウマ対策は薬剤防除が一般的である。しかし、キュウリ等の施設栽培の果菜類では、環境保全の面から殺虫剤の使用量を削減していく方向にあり、今後は環境負荷ができるだけ少ない天敵利用や耕種的防除を積極的に導入していく必要がある。本課題では捕食性天敵ナミヒメハナカメムシの放飼によるミカンキイロアザミウマの防除効果を検討した。
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成果の内容・特徴 |
- ガラス温室にナミヒメハナカメムシ(天敵)成虫放飼区、無放飼区を設け、3月中旬にキュウリを定植した。天敵の平均放飼数は株当たり成虫3.6頭(3月20日)、4.5頭(3月26日)とし、定植翌日に第1回放飼を、6日後に2回目の放飼を行った。
- 第1回放飼5日後からミカンキイロアザミウマの補正密度指数は急激に減少した(図2)。第2回目の天敵放飼7日後~15日後では、補正密度はかなり低い値を維持したが、その後ミカンキイロアザミウマの寄生虫数は徐々に増加した(図1)。
- 第2回放飼1ヶ月後に、ミカンキイロアザミウマの寄生虫数は増加傾向に転じた(図1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 天敵ナミヒメハナカメムシは、苗定植直後に放飼を開始すると防除効果が高い。
- ナミヒメハナカメムシは低温条件では捕食活動が低下するので、栽培管理温度を18℃以上に保持する。また、短日条件で休眠に入りやすいので、放飼時期は3月中旬から8月下旬までとする。
- コナジラミ類、ハダニ類、ワタアブラムシの発生に注意し、定植時に本圃に持ち込まない。また、定植時にコナジラミ類やワタアブラムシに効果的な粒剤処理を励行する。
- ナミヒメハナカメムシは殺虫剤の影響を受けるため、天敵放飼前及び天敵放飼期間中に使用できる殺虫剤の種類が制限される。併用できる防除体系を構築する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
病害虫
カメムシ
きゅうり
栽培技術
施設栽培
天敵利用
防除
ミナミキイロアザミウマ
薬剤
わた
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