タイトル |
イサエアヒメコバチのマメハモグリバエ幼虫に対する反応に及ぼす要因 |
担当機関 |
静岡県農業試験場 |
研究期間 |
1998~2001 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
天敵寄生蜂イサエアヒメコバチのマメハモグリバエ幼虫に対する攻撃数は、寄主密度や温度に依存する。攻撃数に対する寄主体液摂取の割合は、寄主の齢や大きさに依存するが、寄主密度と温度には影響されない。また、中齢幼虫からは雄のみが、老齢幼虫からは雄雌両方が羽化し、羽化成虫の大きさは寄主幼虫の大きさの影響を受ける。
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背景・ねらい |
天敵寄生蜂を用いた生物的防除を効率的に行うため、使用する天敵の寄主に対する攻撃反応に関与する諸要因を解明し、その特性を把握する。そこで、マメハモグリバエの天敵寄生蜂イサエアヒメコバチ(Diglyphusisaea)のマメハモグリバエ幼虫に対する反応に及ぼす外的な要因として、寄主の齢または大きさ、寄主密度及び温度条件の影響を明らかにする。
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成果の内容・特徴 |
- マメハモグリバエの中齢幼虫(2~3齢)、老齢幼虫(3齢)に対する寄生蜂の攻撃数は、寄主密度に依存して攻撃数が増加するタイプII型の機能反応を示す(図1)。一方、若齢幼虫(1~2齢)に対する攻撃数は、寄主密度に関係なく少ない(図1)。
- 攻撃数に対する寄主体液摂取の割合は、若齢では85%、中齢では75%、老齢では49%と若い齢ほど高くなるが、寄主密度には影響されない(図2)。
- 15℃、20℃、25℃、30℃条件下では、温度が高いほど攻撃数も増加する傾向が認められ、15℃条件下における攻撃数は20℃の場合の1/5程度と少ない(データ省略)。
- 攻撃数に対する寄主体液摂取の割合は、15℃~25℃では温度間で差はない。また、いずれの温度条件でも、寄主体液摂取の割合は寄主密度に影響されない(データ省略)。
- 寄主幼虫の各齢を混在させて寄生蜂に与えた場合、蜂は寄主の大きさを判断して大きな寄主には産卵を、小さな寄主には体液摂取を選択する(図2、図3)。
- 中齢幼虫と老齢幼虫それぞれを寄主にした場合、中齢幼虫からは雄のみが、老齢幼虫からは雌雄両方が羽化する(表1)。
- 中齢幼虫、老齢幼虫それぞれから羽化した蜂成虫の大きさは、前者は後者より小さく、羽化成虫の大きさは寄主幼虫の大きさの影響を受ける(表1)。
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成果の活用面・留意点 |
- 本寄生蜂を防除資材として効率的に利用するための寄主や温度の条件が明らかになる。
- 本寄生蜂を大量増殖する際に、効率的に増殖するための寄主や温度の条件が明らかになる。
- 最適放飼戦略を構築するためのシミュレーションモデルにおける基本パラメータとなる。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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カテゴリ |
病害虫
生物的防除
防除
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