乾田直播栽培の播種溝施肥における初期生育の確保と肥料の利用率向上

• 担当機関: 千葉県農業試験場
• 研究期間: 1998～1998
• 発行年度: 1998
• 要約: 乾田直播栽培の基肥施用には播種位置に被覆尿素肥料を施用する播種溝施肥が適しており,出芽・苗立に悪影響を及ぼすことなく,全面全層施肥よりも初期生育の確保が容易となる。また,入水時期の早期化によって肥料の利用率が向上し,特に苗立数が多い場合はその効果が高い。
• 背景・ねらい: 乾田直播栽培は代かきを省けるため,省力・低コスト技術として位置付けられており,本県においても定着化を図っている。しかし,初期生育の確保と施肥作業の省力化が課題の一つとなっており,この点を改善するため,播種位置に肥料を施用する播種溝施肥について検討する。

成果の内容・特徴

1. 播種溝施肥の苗立率は,高度化成肥料では窒素施用量の増加に伴って低下するが,被覆尿素肥料では窒素6kg/10aを施用しても,高度化成肥料の窒素2kg/10aと同等である。また,ライシメータ試験では無窒素と被覆尿素肥料で苗立率に差が見られない（表1）。
   
2. 播種溝施肥は全面全層施肥に比べて初期生育が旺盛となり,畑期間の乾物重が高まると同時に葉色も濃くなる（表2）。
   
3. 播種溝施肥の初期生育（茎数×葉色値）は入水時期の早晩と施肥窒素の有無で異なり,播種後15日の入水では施肥窒素の効果が高い（図1）。
   
4. 被覆尿素肥料の溶出率と水稲の窒素吸収量から求めた被覆尿素肥料の利用率は入水時期が早いほど高まり,播種後15日の入水では苗立数による差が顕著に認められ,苗立数200本/m²が同80本/m²を上回る（表3）。
   

成果の活用面・留意点

1. 試験に用いた被覆肥料はリニア型の70日タイプである。
   
2. りん酸,加里は播種前または入水時に施用する。
   

• カテゴリ: 肥料 乾田直播 省力化 施肥 低コスト 播種