日本なし「幸水」の地上部新生部分における窒素吸収特性

タイトル 日本なし「幸水」の地上部新生部分における窒素吸収特性
担当機関 茨城県農業総合センター
研究期間 1998~2000
研究担当者
発行年度 1998
要約 日本なし「幸水」の地上部新生部分(新梢、葉、果実)における生育量、窒素吸収量は、「ゴールド二十世紀」に比較して少ない。また、「幸水」は新梢葉や果実への窒素分配が多く、果実肥大中期の窒素吸収割合が高い。
背景・ねらい 日本なし「幸水」は品質が優れ、全国で最も多く栽培されている。しかし、栄養生理面の知見は少なく、窒素施肥は品質重視の観点から、元肥に8割を施用し、果実肥大期の追肥を行わない「二十世紀」をモデルとした体系がとられている。こうした中、近年収量が低落傾向にあること、また、なし園地帯は浅層地下水の硝酸態窒素濃度が高い傾向にあることから、施肥の見直しが必要となっている。そこで、「幸水」の地上部における窒素吸収特性を明かにし、施肥改善の基礎資料とする。
成果の内容・特徴
  1. 供試樹は8年生「幸水」及び対照として6年生「ゴールド二十世紀」(以下「二十世紀」)で、両品種とも同一の圃場に植栽されており、土壌は表層腐植質黒ボク土である。収量、果実品質は両品種とも品種特性の範囲であった(表1)。
  2. 「幸水」は「二十世紀」に比較し、ピーク時の新梢本数、葉数が少なく、特に果そう葉数が少ない(表2)。また、地上部新生部分におけるピーク時の積算窒素吸収量も、「幸水」は約12g/樹冠m2と「二十世紀」の6割程度である(図1)。
  3. 「幸水」の積算窒素吸収量は、満開期の4月末から収穫期かけてほぼ直線的に増加する。一方、「二十世紀」は満開約1カ月後の5月末までに、ピーク時の6割が吸収され、「幸水」とは異なる窒素吸収パターンを示す。すなわち、「幸水」は果実肥大中期に窒素吸収量が増加し、初期吸収型の「二十世紀」とは異なる。「幸水」は肥大中期に窒素吸収量が増加する、新梢葉や果実への窒素分配が多いためと考えられる(図1)。
  4. 以上のように、「幸水」は「二十世紀」に比較して生育量・窒素吸収量が少なく、窒素吸収パターンも異なることから、「二十世紀」の施肥モデルには適合しないことが示唆された。したがって、「幸水」は元肥の割合を低め、追肥の割合を高めた施肥法が望ましいと考えられる。
図表1 215908-1.gif
図表2 215908-2.gif
図表3 215908-3.gif
カテゴリ 肥料 施肥 日本なし 品種

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