タイトル |
砂地畑の地下水中での硝酸態窒素の挙動と脱窒 |
担当機関 |
静岡県農業試験場 |
研究期間 |
1998~1998 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
砂地畑では作物のトンネル除去後の降雨により施肥窒素が流出して、地下水中の硝酸態窒素濃度は上昇するものの、同時に地下水中で脱窒が生じていると推察される。
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背景・ねらい |
砂地畑では施肥窒素が溶脱し易いため、適切な施肥を行わないと地下水の硝酸態窒素汚染が深刻化する恐れがある。 そこで、窒素成分をほとんど含まない河川水をかん水に使用している砂地畑の窒素動態を解明し、窒素流出負荷軽減の基礎資料とする。
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成果の内容・特徴 |
- 冬季は施肥後にトンネル被覆して栽培するニンジン、春から秋はカンショ、サトイモ、スイカを多く栽培している砂地畑では、強制暗きょ施設(図1)から排出される窒素量は年間146kgN/haで、これは施肥窒素量の43.6%に相当する。
- 暗きょ排水中の硝酸態窒素濃度は冬から春にかけて高く、特にニンジンのトンネル除去直後に降水量が多くなる4月に高い。窒素排出量は降水量が多いと増加する傾向で、4月~5月にかけて最高14kgN/ha/週程度となる(図2)。地下水の流動方向に沿った3箇所(図1)の地表面下1.5~2.5mの地下水中でも硝酸態窒素濃度は3~4月頃から上昇する傾向がみられる(図3)。
- 地下水の上流側に顕著な窒素負荷源のないa地点から、主な作付け体系が同じ砂地畑内のb地点、および下流側のc地点(図1)までの地下水中では、みかけ上高濃度域が時間の経過とともに下層へ移動し、下流側に向かい高濃度域が拡大する傾向にある(図3)。
- 硝酸態窒素の窒素安定同位体比(δ15N値)より砂地畑地表面下4.5mまでの地下水中で脱窒が起きていることが推察される。δ15N値が高い位置は硝酸態窒素濃度が低く、脱窒により硝酸態窒素濃度が低下した可能性が高い(図3)。
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成果の活用面・留意点 |
砂地畑からの溶脱窒素軽減の方策を講じる上での基礎資料とする。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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カテゴリ |
かんしょ
さといも
すいか
施肥
にんじん
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