タイトル |
グリシンとキトサンの併用による浅漬けの品質保持期間の延長 |
担当機関 |
茨城県工業技術センター |
研究期間 |
1998~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1998 |
要約 |
キトサンで浅漬けの日持ちを延長することができる。漬液の白濁は乳酸菌の増殖によることが多いが,キトサンは増殖抑制効果を示す。その抗菌力はグリシンあるいはエタノールの併用で増強される。
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背景・ねらい |
浅漬けは低塩分のため日持ちが悪く,流通や加工サイドで品質保持期間の延長が望まれている。日持ち向上剤として有機酸塩やエタノールなどが使用されているが,浅漬けの主要な変敗原因である乳酸菌に効果のあるものは少ない。そこで,カニ甲羅から調製された市販キトサン製剤の日持ち向上効果を検討する。
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成果の内容・特徴 |
- 市販浅漬けを10℃で貯蔵して白濁した場合の原因微生物は乳酸菌であった(図1)。主な乳酸菌として,Lactobacillus sake とLeuconostoc mesenteroidesが同定された。
- これらの乳酸菌に対してキトサン(FK-10,甲陽ケミカル)は強い抗菌作用を示し,キュウリ下漬け液を利用した培地の場合,0.05%濃度で増殖を阻止した。
- 市販浅漬けの最も単純な調味は食塩1~3%, グルタミン酸ナトリウム(MSG) 0.1%, pH5~6(有機酸及び有機酸塩類で調整)である。食塩 3%,pH5.5の条件下でカラギーナン,MSG,酢酸ナトリウム,リンゴ酸ナトリウムあるいは塩化カリウムの共存はキトサンの抗菌作用を低下させた(表1)。
- グリシン及びエタノールは,逆に抗菌作用を増強させ,アラニン及びソルビン酸は影響しなかった(表1)。
- 食塩 1%,MSG 0.1%,乳酸 0.025%,酢酸Na 0.3%,グリシン 0.3%の調味配合に,キトサンを同量の氷酢酸に溶かして最終濃度で0.03%になるように加えた結果(調味液pH5),10℃貯蔵で10日間以上の品質保持が可能となった。
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成果の活用面・留意点 |
本方法は,調味液の配合に抗菌作用を有する品質保持剤を加えて微生物の増殖を抑えるものであるが,初発菌数が少ないほど有効であるので前段階の製造工程での微生物対策が重要である。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
加工
きゅうり
品質保持
りんご
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