タイトル |
背白・基白米発生率による水稲品種の高温登熟性簡易検定法 |
担当機関 |
茨城県農業総合センター生物工学研究所 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
温室内に設置したベッドで、供試品種を10個体ずつ栽培し、出穂後室温を昼間30~32℃、夜間25~27℃に調節する。成熟期に各個体から1穂ずつ採取し、玄米の背白米と基白米の発生率を調査し、それを基準品種と比較することにより、各品種の高温登熟性を簡易に検定できる。
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背景・ねらい |
登熟期に高温に遭遇しても充実が良く外観品質が損なわれない品種、すなわち高温登熟性の優れた品種・系統を選抜するため、温室を利用した簡易でかつ多数品種の検定が可能な高温登熟性検定法を開発する。
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成果の内容・特徴 |
- 窓の開閉により室温の調節が可能な温室に設置したベッド(底面の高さ:70cm、深さ:15cm程度)に、深さが10cmになるように水田土を入れ、N、P2O5、K2Oをそれぞれm2当たり成分で10g施用する。ベッドは、温度ムラを少
なくするため側窓から1m以上離れていることが望ましい。
- 6月上旬に、供試品種・系統の種子を1列ずつ、畦幅13cm・長さ60cmで条播する。出芽苗立後、株間が5cmになるよう間引きして10個体を残し、その後は湛水して栽培する(図1)。
- 極早生品種の出穂期から供試した全品種が成熟期に達するまでの間、窓の開閉や夜間の加温などにより、供試品種の穂首付近の気温を昼間30~32℃、夜間25~27℃に調節する(図2)。
- 成熟期後、1品種・系統につき生育中庸な7個体を選び、1個体から1穂をとり籾摺りし、全玄米について背白米(背白部分が背側の長さの2/3以上)と基白米の発生率を調べる。
- 温室における背白米と基白米を合わせた発生率(背白・基白米発生率)には、顕著な品種間差がみられ、さらに、温室での発生率は水田圃場(高温年)における発生率とよく一致する(図3)。
- 供試品種は、背白・基白米発生率の少ない越路早生、やや少ないこころまち、中程度のあきたこまちなど5品種、やや多いひとめぼれなど3品種、および発生率の多いチヨニシキ、初星の5段階に分かれる(図4)。この中から温室と圃場での発
生が特によく一致する5品種を、表1に示す高温登熟性基準品種に選定した。したがって、水稲品種の高温登熟性は、温室における背白米と基白米の発生率を指標として、それを本試験で選定した基準品種と比較することによって判定できる。
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成果の活用面・留意点 |
- 水稲新品種育成における高温登熟性検定法として活用する。
- 温室の中央部と外側では気温が異なるので、それぞれに基準品種を栽培する。
- 適用範囲は関東地方の極早生~中生にあたる熟期の品種・系統である。
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図表1 |
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図表2 |
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図表3 |
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図表4 |
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図表5 |
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カテゴリ |
簡易検定法
新品種育成
水田
水稲
品種
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