タイトル |
大豆「みすず黒」の準奨励品種採用と栽培法 |
担当機関 |
埼玉県農業試験場 |
研究期間 |
1999~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
農産物直売所等で地域特産品として、有望な煮豆用黒大豆「みすず黒」を準奨励品種に採用し、品種特性を活かした栽培法を明らかにした。
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背景・ねらい |
転作大豆は、山間山沿い地域などのほ場区画の狭い地域などでは生産性の向上に限界があり出荷量が減少している。近年、観光農園や農産物直売所が各地に設置され、大豆をはじめとして地域で生産された多種多様な農産物が販売されている。黒大豆は従来、在来品種が栽培されてきたが、需要の拡大に伴い、熟期、形質に優れる品種選出による安定供給が確立が求められている。
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成果の内容・特徴 |
- 品種特性
「タチナガハ」と比較して次の特徴がある(表1)。 (1)開花期は2日遅く、成熟期は平坦地で6日、中山間地で8日早い。 (2)主茎長は平坦地で12cm、中山間地で4cm程度長く、耐倒伏性は平坦地では劣るが、中山間地は同程度である。 (3)主茎節数は同程度、分枝数は多く、最下着莢節位高はやや低い~低い。 (4)収量は平坦地で少ないが、中山間地ではやや多い。百粒重は重い。 (5)外観品質は平坦地でしわ粒の発生が多くやや劣り、中山間地では同程度である。 (6)シストセンチュウ抵抗性は弱、ウイルス病抵抗性は極強、立枯病害抵抗性は中である。 (7)子実成分は粗蛋白含量、粗脂肪含量は同程度、全糖含量はやや低い。煮豆加工適性は優れると評価された。
- 栽培特性
- 5月上旬から6月上旬播は、害虫発生状況や干ばつ等により、収量・品質の年次変動が大きく、7月上旬播は百粒重が低下し、収量性が劣る(表2)。
- 6月中下旬播は、品質・収量が比較的安定しており、密植による百粒重の低下も少ない。平坦地より百粒重が10g程度大きくなり、商品性が高い(表2)。
- 栽培法(目標収量30kg/a)
6月中下旬播で栽植密度は5~7本/m2(畦幅70cm株間20~30cm)(表2)。 7月上旬播で栽植密度は7~14本/m2(畦幅70cm株間10~20cm)(表2)。
- 普及見込み地帯
中山間地域(概ね標高100m以上の地域)
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成果の活用面・留意点 |
- 栽植密度が低いため、欠株が減収を招きやすいので、出芽苗立ちの確保に努める。
- 早生種のため、成熟後期が高温多湿となりやすく、倒伏が収量・品質の低下を招きやすいので中耕培土を徹底する。
- 子実が蝋質を有しているため、外観を損ないやすいので、バインダ収穫が適する。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
害虫
加工適性
出荷調整
しわ粒
大豆
立枯病
中山間地域
抵抗性
品種
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