小麦「キヌヒメ」の奨励品種採用

タイトル 小麦「キヌヒメ」の奨励品種採用
担当機関 長野県農事試験場
研究期間 1994~1998
研究担当者
発行年度 1999
要約 「シラネコムギ」よりやや多収で、製粉・製麺性が「シラネコムギ」並みに優れる。倒伏に強く穂発芽性難の早生種「キヌヒメ」を奨励品種に採用する。
背景・ねらい 長野県では良質小麦として実需者の評価が高い「シラネコムギ」の作付が9割以上を占める。しかし、梅雨末期の降雨により穂発芽が発生し、低アミロ麦の発生がしばしば問題となる。また、「シラネコムギ」より早熟期の奨励品種として「フクホコムギ」があるが、実需の要望にそう品質が得られないため、作付けはほとんどない。したがって、生産現場からは穂発芽性難で、越冬性が強化された早生・良質品種育成の強い要望がある。このことから、実需の要望の低い「フクホコムギ」の代替えとして「シラネコムギ」に加えて「キヌヒメ」を奨励品種として採用し、小麦の作付け面積拡大を図る。
成果の内容・特徴 「キヌヒメ」は「フクホコムギ」「シラネコムギ」と比較して次のような特徴がある。
  1. 出穂は「シラネコムギ」より早く、成熟期は「シラネコムギ」より4日程度早熟である。低暖畑作地帯と中山間地畑作地帯との熟期の差は7日程度である(表1)
  2. 稈長・穂長とも「シラネコムギ」と同程度で、穂数はやや少ない。子実重、千粒重とも「シラネコムギ」よりやや多く(表1)、収量性は「シラネコムギ」より高い(図1)
  3. 稈の剛柔はやや剛と「シラネコムギ」並であり倒伏に強い。(表1)
  4. 粒型および粒大は中で、外観品質は「シラネコムギ」・「フクホコムギ」より優れる中上である(表1)
  5. 耐雪性、耐凍上性は「シラネコムギ」よりやや劣り、耐寒性は「シラネコムギ」並のやや強である。耐うどんこ病は強で「シラネコムギ」より強い。(表1)
  6. 穂発芽性は難で「シラネコムギ」・「フクホコムギ」より優る。
  7. 製粉歩留・製粉性は「シラネコムギ」並に良好で、粉の色は白く(表2)、ゆでうどんの官能評価は「シラネコムギ」より優れる(表3)
成果の活用面・留意点
  1. 少肥や地力のないところ、水田転換畑では蛋白含有率が低くなる傾向があるので、止葉展開期に追肥を行ない品質向上の確保につとめる。
図表1 215978-1.gif
図表2 215978-2.gif
図表3 215978-3.gif
図表4 215978-4.gif
カテゴリ うどんこ病 小麦 水田 耐寒性 中山間地域 品種

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