タイトル |
食品製造副産物と粉砕トウモロコシの給与が泌乳初期乳生産に及ぼす効果 |
担当機関 |
群馬県畜産試験場 |
研究期間 |
1997~1999 |
研究担当者 |
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発行年度 |
1999 |
要約 |
食品製造副産物であるビール粕およびトウフ粕多給時にみられた泌乳量の減少を改善するため、TMR原物中にトウモロコシを25%配合することにより、泌乳量が増加した。また、トウモロコシの加工形態を加熱圧ぺんから粉砕に代替えしても効果は変わらず、飼料費の低減に有効であった。
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背景・ねらい |
泌乳初期における高泌乳生産を支えるためには、大量の穀物給与が必要であるが、穀物を海外生産に頼っている我が国では、生産コストが海外市場に左右されることになる。一方、畜産物流通の国際化の中で、生乳生産コストの低減がより一層求められている。このような背景のもと、牛の健康状態を良好に保った上で、未利用資源である食品製造副産物(以下BP)を用いて、その飼料特性を活かした、TMRの給与技術を確立する試験を継続している。前回の試験結果から、穀類の代替えとしてBPを多給(25%)すると乳脂率は向上するものの乳量が減少した(平成10年度関東東海及び北陸農業試験研究成果情報)。そこで、今回はBP多給による泌乳量の減少を改善するための対策を検討した。泌乳牛64頭を3区分し、分娩後105日間試験飼料をTMRで給与した。飼料は加熱圧ぺんトウモロコシ(以下圧ぺん)を32%、ビール粕およびトウフ粕(以下BP)を各3.0%含むFC-LB区、圧ぺんを25.1%、BPを各11.0%と魚粉およびコーングルテンミール含むFC-HB区、FC-HB区とBPは同じで圧ぺんの代わりに粉砕トウモロコシを含むML-HB区の3区を設定し、チモシーおよびアルファルファの切断乾草と混合給与した。
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成果の内容・特徴 |
- BP多給区の飼料成分(設計値)は、BP少量区(FC-LB)とTDN、CP、粗脂肪およびNDFはほぼ等しくした。UIP/CPは5.9%高く、澱粉は2.8%低くなった。
- 3区のDM摂取量および増体指数に大きな差はなく、FCM乳量、乳蛋白率およびSNF率にも差はなかった(表2)。
- 第一胃内pHおよび総VFA量に差は認められなかったが、酢酸/プロピオン酸比ではML-HB区が有意に高く、アンモニア態窒素はFC-LB区が有意に高かった(表2)。
- 血液性状では、ML-HB区のグルコースが他の2区に比較して低い値であった(表2)。
- 製造副産物を多給した場合、澱粉給与水準を20%程度に保ち、非分解性蛋白質を高めることで産乳量の低下を防止することができる(表1,表2)。
- 飼料単価の高い加熱圧ぺんの代替えとして、粉砕トウモロコシの給与は低コスト生産に有効である(表2)。
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成果の活用面・留意点 |
- 高泌乳牛において、製造副産物飼料を利用する場合の飼料設計に活用できる。
- 製造副産物を給与する場合、澱粉、UIPおよび粗脂肪含量等に留意する必要がある。
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図表1 |
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図表2 |
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カテゴリ |
アルファルファ
加工
コスト
飼料設計
低コスト
とうもろこし
乳牛
未利用資源
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