ガラス化保存牛胚の融解後のストロー内希釈・直接移植法

タイトル ガラス化保存牛胚の融解後のストロー内希釈・直接移植法
担当機関 群馬県畜産試験場
研究期間 1998~1999
研究担当者
発行年度 1999
要約 7~8日齢の黒毛和種胚をガラス化保存した。融解後、ストロー内においてエチレングリコール+ショ糖液によって一段階希釈後、直接移植した。その結果、50.7%の受胎率が得られ、対照区の10%エチレングリコールを用いて緩慢凍結した牛胚の直接移植の成績(50.0%)と同様であった。
背景・ねらい ガラス化保存法は、室温で高濃度の耐凍剤を用いて、胚細胞内水の脱水を促しながら、液体窒素ガス中での急速冷却によって胚をガラス化して、液体窒素中に保存する方法である。本法には胚専用凍結機器は不要であり、また、1胚あたり数分の所用時間で保存が終了する利便性がある。よって、適正な融解法を備えたガラス化保存法の確立は、牛胚保存法の簡易化をもたらすものと期待される。本試験では、融解後のガラス化胚の耐凍剤希釈をストロー内に充填したエチレングリコール+ショ糖液によって一段階的に実施し、直接移植による受胎性から本法の有効性を調べた。
成果の内容・特徴
  1. 供試胚には黒毛和種牛に過剰排卵誘起処置・人工授精を行い、発情後7~8日目(発情日=0日)に回収した形態評価がA・Bランクの胚を用いた。
  2. ガラス化保存は石森ら(1992)の方法に準じ実施した。胚を50%濃度のVSED(25%エチレングリコール,25%ジメチルスルフォキシド/4mg/mlBSA加D-PBS)に50~60秒間浸漬した。次に、VSED(100%濃度)に浸漬し、直ちに、図1のストロー内溶液構成になるように胚をVSEDと共にストローに吸引・閉封し(VSED浸漬からストロー閉封まで約40秒)、液体窒素ガス内(-160℃)に2分間静置後、液体窒素中に保存した。これらの操作は全て室温下で実施した。
  3. 加温融解は、ストローの空中保持( 8~10秒)と水中浸漬(20~22℃,約10秒)で行い、希釈はストローを数回振り下ろすことによって各液層を混合した。ついで、ストローを再度水中に 5分間垂直(綿栓部下)保持後、胚は再封入せず移植した。対照区には凍結媒液に10%エチレングリコール+0.1Mショ糖を用いた緩速凍結・直接移植法を採用した。
  4. 妊娠鑑定は移植後35~50日に直腸検査法により実施した。
  5. ガラス化胚の移植後の受胎率は 50.7%(105/207)で緩速凍結胚(50.0%,57/114)と同等であった(表1)。また、ステージ別にも有意な差はなく(表2)、本法には実用性があると判断された。
成果の活用面・留意点
  1. 胚専用凍結機器を持たなくても胚の保存が可能である。
  2. 移植現場での加温融解が可能。
  3. 低ランク胚についての検討を要す。
図表1 215996-1.gif
図表2 215996-2.gif
図表3 215996-3.gif
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